ブラックフライデーとは?由来・日本での普及と消費者心理

ブラックフライデーの由来、日本での普及、消費者心理と販促効果を解説。 マーケティング事例・ニュース分析

ブラックフライデーは、米国ではクリスマス商戦の幕開けを告げる季節の目安です。日本では、その名前とセールの仕組みが取り入れられ、11月から年末商戦へ顧客を呼び込む入口になりました。

日付は米国の感謝祭翌日の金曜日で、2026年は11月27日。家族で感謝祭を過ごし、次はクリスマスの贈り物を選ぶ。その切り替わりに小売店のセールが重なったのが、この商戦の基本です。

この日を単発の値引きイベントとして見るだけでは、年末商戦とのつながりを見落としてしまうかもしれません。日本の小売業者を観測したCriteoの分析では、ブラックフライデーのキャンペーン実施企業は12月にも売上の伸長が見られました。また、別年の購買分析では、商品ページへの初回接触から購入まで平均26日をかけています。年末の購入先に選ばれるには、セール前から商品の特徴や選ぶ理由を伝え、当日に価格や特典で決断を後押しする設計が有効ではないでしょうか。

本記事では、ブラックフライデーの歴史と日本で広がった経緯を押さえたうえで、消費者の購買データから企業がどう活用すればよいかを考えます。開催前に比較候補へ入り、当日は購入を後押しする。割引と広告費を粗利益に照らし、12月の商戦まで見通してみる。 これが記事全体の提案です。

  1. ブラックフライデーとは?クリスマス商戦が始まる目安
    1. 感謝祭を家族で過ごし、次はクリスマスの贈り物を選ぶ
    2. 2026年は11月27日。サイバーマンデーは11月30日
  2. ブラックフライデーの由来は?混雑の呼び名から商戦の名前へ
    1. 混雑に困る警察と、客を迎えたい商店
    2. 「黒字になる日」という説明が、売る側の意味を加えた
  3. 日本ではいつから広まった?11月を年末商戦の入口にする
    1. イオンの2016年展開と、Amazonの2019年初開催
    2. 文化を知らなくても、買い物には参加できる
    3. 長期化は予算の先取りだけでなく、配送を回すためでもある
  4. 消費者の財布は緩むのか――計画購入と売り場での発見が重なる
    1. 節約のための購入と、ご褒美の購入は同じ売り場にある
    2. 売り場で知った商品も、購入の候補になる
    3. 売上増には、時期の移動・店の変更・追加購入が混ざる
  5. 独身の日・楽天スーパーSALE・プライムデーとは何が違うのか
    1. イベント名より、誰がどの範囲で開催するかを見る
    2. 競争相手は、同じ日の別の店だけではない
  6. 売れる件数が増えても、売上が増えるとは限らない
    1. 2025年のCyber6で、件数と平均注文額は逆方向に動いた
    2. 前年比を見たら、次は増えた売上の中身を調べる
  7. 企業はどう活用する?事前に候補へ入り、12月の商戦につなげる
    1. キャンペーン実施企業は12月も伸長――単日セールで終わらせない理由
    2. 平均26日は、当日の売り場より前に比較が始まっている手掛かり
    3. 当日の販促にも、発見と最後の判断を助ける役割がある
    4. なぜ安く売るのか――値引きと利益を分けて考える
  8. まとめ:ブラックフライデーを、年末年始に選ばれる入口に
  9. 参考資料

ブラックフライデーとは?クリスマス商戦が始まる目安

感謝祭を家族で過ごし、次はクリスマスの贈り物を選ぶ

米国では、感謝祭の翌日がクリスマスに向けた買い物の本格化を知らせる節目になってきました。感謝祭に家族や親しい人と集まって食事をし、その行事が終わると、次の大きな行事であるクリスマスへ意識が移ります。ブラックフライデーは、この季節の切り替わりを買い物の機会にしたものです。

たとえば、家族への贈り物を考えるときには、誰に何を贈るかを決め、商品を比べ、予算に合う店を探します。小売店はこの時期にセールを打ち出し、贈り物を探し始めた人に自店の商品を見てもらいます。消費者の「そろそろクリスマスの準備をしよう」と、店の「年末の買い物を当店で」という働き掛けが重なるわけです。

つまり、ブラックフライデーの役割は一日の安売りで完結しません。その後のクリスマスまで続く商戦の幕開けを告げ、買い物に向かう気持ちと店の販促をそろえる目安です。近年は先行セールもあり、買い始める日は人によって違いますが、季節の節目としての役割はここにあります。

米国では感謝祭を家族で過ごし、翌日のブラックフライデーを目安にクリスマスの贈り物選びが本格化する。2026年は11月27日。
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出典:Amazonの2026年公式案内。米国の季節と商戦の位置づけを整理した図。

2026年は11月27日。サイバーマンデーは11月30日

米国の感謝祭は11月の第4木曜日で、その翌日がブラックフライデーです。2026年は感謝祭が11月26日、ブラックフライデーが27日、週末を挟んだサイバーマンデーが30日になります。

サイバーマンデーは、感謝祭後の月曜日をオンラインの買い物と結び付けた呼び名です。現在はブラックフライデーも実店舗とECの両方で行われ、各社が前後へ期間を広げています。販促を計画する企業は暦上の一日だけでなく、競合の開始時期や自社の受注・出荷能力も踏まえて開催期間を考えると、販促と運営をつなげやすくなります。

後ほど紹介するCriteoの「Cyber6」は、木曜日から火曜日までの6日間を集計したものです。ブラックフライデー当日の売上ではなく、その前後を含む商戦の動きを見るデータとして使います。

ブラックフライデーの由来は?混雑の呼び名から商戦の名前へ

先にあったのは、感謝祭翌日にクリスマスの買い物へ出掛ける習慣です。買い物客による渋滞や混雑で仕事が増える金曜日を、警察官が皮肉を込めて「ブラックフライデー」と呼び、商店にも名称が広がり、後から「黒字になる日」という好意的な説明が加わりました。 この順序で見ると、名前と商戦の関係が分かります。

混雑に困る警察と、客を迎えたい商店

1961年の広報業界誌の原文転記には、フィラデルフィアの警察官が、買い物客による交通渋滞や混雑への対応で仕事が増える金曜日を、皮肉を込めて「ブラックフライデー」と呼んでいたことが記されています。負担の大きい一日を嘆く呼び名だった、という意味です。

一方、商店にとって多くの客が来るのは歓迎したいことです。地元の商業関係者は「Big Friday」への呼び換えを試みました。同じ一日でも、混雑に対応する側と商品を売る側では受け止め方が違ったのです。

1966年の商店広告には、ブラックフライデーの名前と、クリスマス商戦の開始、街の混雑が一緒に登場します。警察側の呼び名だった言葉が、買い物の日を知らせる商業の言葉としても使われるようになっていました。

感謝祭翌日の買い物が先にあり、1961年に確認できる、混雑対応で仕事が増える金曜日を皮肉った警察官の呼び名、1966年の商店広告、1981年に確認できる黒字の説明へつながる。
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出典:上記の同時代資料の原文転記。年は各用例を確認できる年で、商戦の初開催年ではない。

「黒字になる日」という説明が、売る側の意味を加えた

よく知られる「売り上げが増え、赤字から黒字になるから」という説明は、1981年の新聞にも見られます。混雑を嘆く呼び名に、商売にとって良い日だという意味が加わった、と理解すると整理できます。

この歴史で重要なのは、買い物の習慣に名前が付き、その名前が商戦を知らせる役割を持ったことです。今では「ブラックフライデー」という言葉自体が、消費者にはセールを探すきっかけ、店には販促を打ち出す合図になっています。

補足として、1951年の工場経営誌にも感謝祭翌日の欠勤を指す同じ言葉が見られます。これは工場労務の文脈であり、商戦の呼称との直接の継承は確認されていません。資料転記

日本ではいつから広まった?11月を年末商戦の入口にする

日本では、感謝祭の習慣よりも「年末の買い物を11月から始めてもらう」という商業的な役割が取り入れられました。 イオンの店頭展開とAmazonのECでの開催を追うと、その広がりが見えてきます。

イオンの2016年展開と、Amazonの2019年初開催

日本での普及を考える具体的な節目として、イオンの2016年の展開があります。当時のイオンモールの発表でブラックフライデーの実施を確認できます。大手小売による展開の具体例です。

翌年のイオンリテールの公式説明では、比較的消費指数の低かった11月に、年末商戦を開始する新たなイベントを作るという導入目的が述べられています。12月に向けて消費が動く前に、11月にも店を訪れてもらうきっかけを作る狙いでした。

Amazonは2019年11月22〜24日に、日本で初めてブラックフライデーを開催しました。同社の2019年の振り返りで確認できます。実店舗の催しとして接する人に加え、ECで商品を探す人にも同じ名称のセールが届くようになったことが、広がりを理解するポイントです。

日本では2016年のイオン展開、2019年のAmazon日本初開催が確認できる。2026年は金曜一日より長い開催期間へ。
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出典:イオンモール2016年発表、イオンリテール2017年発表、Amazon2019年発表、イオン2026年先行販売発表を基に作成。普及の代表事例を示す。

文化を知らなくても、買い物には参加できる

消費者は、感謝祭の由来を知っていなくても、普段買う商品や欲しかった商品が対象になれば参加できます。企業にとっても、個別の「11月セール」と説明するより、複数の店で使われる共通の名前を掲げることで、買い物を考えるきっかけを共有できます。

ここには、文化的な行事と販売促進が切り離されて広まる仕組みがあります。米国ではクリスマスへ向かう生活の季節感が土台にありますが、日本では初売りや福袋も含めて、年末年始にさまざまな買い物の機会があります。その手前に、何を買うかを考え、購入先を選ぶ機会が追加されたと捉えられます。

複数の店が同じ名前でセールを行えば、消費者は店をまたいで価格や特典を比較します。共通イベントは客を呼び込む入口になる一方で、店同士を比較する入口にもなります。

長期化は予算の先取りだけでなく、配送を回すためでもある

2026年のイオンモールの店頭開催は11月20〜30日です。また、イオンのネット先行販売の発表では、10月31日10時から11月16日9時59分までの実施が案内されています。先行期間は前年の9日間から16日間へ拡大し、受注・出荷の分散と配送の平準化が理由として説明されています。

ここから分かるのは、セールの日程が集客と物流を合わせた事業判断だということです。早期販売で注文を先に受けるだけでなく、受注が集中する日を減らして、届ける仕事を回しています。一日に大量の注文を集めても、出荷が滞れば顧客にとって良い買い物になりません。売上を作る販促と、その売上を実際に届け切る運営が、同じ日程設計の中にあるのです。

ニトリの2026年の発表でも、家具・大型家電約600アイテムを対象に10月30日〜11月24日の開催が案内されています。ブラックフライデーの暦上の日付より前に終了する期間もあります。日本での「ブラックフライデー」は、11月27日だけを意味する言葉としてではなく、各社が設定する販売期間の名前としても使われています。

消費者の財布は緩むのか――計画購入と売り場での発見が重なる

ブラックフライデーは、予定していた買い物を実行する場であり、予定になかった商品と出会う場でもあります。 消費者を一律に衝動買いへ向かう人と見るより、何を買いに来たのかで売り場と情報を設計する方が実務に役立ちます。

節約のための購入と、ご褒美の購入は同じ売り場にある

クロス・マーケティングの2025年調査では、購入予定者の目的として「日常使い(まとめ買い・買いだめ)」が46.3%、「自分へのご褒美」が31.4%でした。日常の支出を抑える買い方と、自分の楽しみのために買う行動が同じ商戦に集まっています。

購入予定者577人の複数回答では、日常使い46.3%、自分へのご褒美31.4%。別調査の購入経験者723人では予定外購入経験47.2%。
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出典:クロス・マーケティング2025年調査、BOOKOFF GROUP HOLDINGSの2026年調査発表。左:2025年11月21〜23日、全国20〜69歳1,100人のうち購入予定577人、複数回答。右:2026年9月18日、国内20〜69歳1,016人のうち過去の購入経験者723人。右は予定外購入をした経験の割合。別母集団・別設問のため合算しない。

たとえば、いつも使う洗剤を安い時期に数か月分買う場面を考えます。使う量は同じでも、買う時期をまとめれば一回の注文は大きくなります。この客に役立つのは、容量当たりの価格、必要な数量、送料を含めた支払額です。

ご褒美の買い物には、以前から欲しかった品を、納得できる価格になったところで買う行動も含まれます。「節約」と「ご褒美」を別々の人の固定した性格に分けるより、同じ人が商品ごとに異なる判断をしていると考えた方が、販促の設計には使いやすくなります。

日常品では必要な数量や保管場所、嗜好品では品質や使う場面が判断に関わります。価格を下げたという情報だけでなく、その商品を自分の生活に取り入れる理由が伝わっているかによって、値引きの意味も変わります。調査の数値は、その違いを考える入口です。

売り場で知った商品も、購入の候補になる

BOOKOFFの調査では、過去の購入経験者の47.2%が予定外の商品を買った経験を答えています。買う物を決めて来た人にも、売り場で別の商品を知ってもらう余地があります。

たとえば、買う予定の調理器具を探していて、それに合う保存容器が目に入る場合を考えられます。保存容器を単に安い順に並べるより、調理器具と一緒に使う場面や収納できる量を示すと、買う理由が具体的になります。これは調査結果を売り場へ応用する際の考え方です。

したがって、「財布のひもが緩む」という一言で終えるより、事前にあった需要を購入へ進めたのか、その場で商品への関心を作ったのかを分ける方が、消費者にも企業にも役立ちます。事前の商品説明と当日の商品発見の両方に役割がある、ということです。

売上増には、時期の移動・店の変更・追加購入が混ざる

需要の移動を三つに分ける。12月の予定を11月へ前倒し、店Aの予定を店Bへ変更、買う予定に商品を追加。それぞれ企業売上と市場全体の意味が異なる。
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編集部の概念整理。行動の構成比ではなく、売上増を分解するための図。

一つ目は時期の移動です。12月に買う予定だった商品を11月に買えば、11月の売上は伸びますが、その分12月の需要が先に満たされます。二つ目は購入先の変更です。店Aで買う予定を店Bへ変えれば、店Bにとっては顧客獲得ですが、同じ商品を市場全体で一つ多く売ったことにはなりません。

三つ目は追加購入です。買う予定に別の商品が加わる場合です。家計全体の消費が増えたかを見るなら、前後の期間も含めて支出を追います。

企業にとっては、競合から顧客を獲得すること自体が成果です。一方、既存顧客がいつもの購入を値引き期間へ移した場合は、前後の売上と粗利益を合わせて評価します。たとえば11月の注文が増えて12月に同じ顧客の注文が減ったなら、11月だけを見て販売力が上がったと判断するのは早計です。何が増えたのかを分けると、同じ売上増でも施策の評価が変わります。

独身の日・楽天スーパーSALE・プライムデーとは何が違うのか

違いは、開催する主体と対象範囲です。一方、消費者は名前の違うセールも同じ商品の購入候補として比べます。 同日の競合店に加え、別の商戦まで購入を待つ客にも目を向けると、販促の時期を考えやすくなります。

イベント名より、誰がどの範囲で開催するかを見る

ブラックフライデーは、異なる企業が共通の呼び名を使う商戦です。一方、Amazonプライムデーや楽天スーパーSALEは、それぞれのサービスが運営する販売イベントです。独身の日に結び付く11月11日の商戦、年明けの初売りや福袋もあり、消費者には複数の買い物機会があります。

商戦 比較するときの特徴 企業が販促設計で見る点
ブラックフライデー 複数の小売・ECが同じ名称で開催 競合の開始時期と自社が選ばれる条件
独身の日・11月11日の商戦 11月11日を軸にした販売機会 対象地域・顧客と11月後半への需要の動き
Amazonプライムデー Amazonの会員向けセール 会員顧客への接点と他販路での販売時期
楽天スーパーSALE 楽天市場が行うセール モールの集客と自店の価格・特典の組合せ
初売り・福袋 年明けの販売機会 年末との商品・在庫・予約配分

開催期間と購入条件は、Amazonの公式セール案内、楽天市場の公式案内など、各社の公式案内で確認できます。

名前が同じブラックフライデーでも、店によって販売開始日や特典は違います。逆に名前が違うセールでも、同じ商品を買う候補になることがあります。消費者が決めるのは、自分が買いたい品を、いつ、どの店で、どの条件なら買うかです。

競争相手は、同じ日の別の店だけではない

たとえば、ある家電を買う予定の人が11月のセールと12月の販売機会を比べているなら、その人をめぐる競争には時期も含まれます。11月に購入してもらうことと、12月まで待ってもらうことの間で、価格・在庫・納期・特典の意味が変わります。

他社より割引率が大きくても、購入先に選ばれるとは限りません。配送を含めた支払額、届く日、返品条件、必要な付属品、ポイントの利用条件まで比べると、顧客が何を重視して店を選ぶのかが見えてきます。表示価格が低くても、必要な時期に届かなければ、その人にとって有利な選択にならないことがあります。

こうした比較を考えると、ブラックフライデー前の買い控えも、単純な需要消失とは限りません。商品に関心を持ちながら条件の発表を待つ人は考えられます。自社では、商品閲覧やお気に入り登録が続いているのに注文が減り、セール開始後に購入へ進んだかを確認します。これらの行動を組み合わせると、関心を失った客と、条件を待っていた客を見分ける手掛かりになります。

他方、すべての顧客が次のセールまで待てるわけではありません。今必要な品を売る通常の売り場まで弱めれば、セール前の商機を失うこともあります。「待つ人がいるから通常販促は止める」という一律の対応ではなく、いま購入する理由を持つ顧客と、条件待ちの顧客を同じ数字だけで扱わないことに意味があります。

売れる件数が増えても、売上が増えるとは限らない

販売件数の伸びよりも一回の注文額の下落が大きければ、売上は減ります。セールの評価では、件数・単価・粗利益をセットで見ることが大切ではないでしょうか。 Criteoの2025年データは、その必要性が分かる実例です。

2025年のCyber6で、件数と平均注文額は逆方向に動いた

Criteoが2026年に公表した2025年の分析では、日本のCyber6で取引件数が前年比11%増、コンバージョン率が10%増だった一方、平均注文額は17%減、売上を表す収益は8%減でした。

日本2025年Cyber6の前年比は取引件数プラス11%、CVRプラス10%、平均注文額マイナス17%、売上指標マイナス8%。
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出典:Criteo上記分析。木曜〜火曜の6日間、参加小売の観測データ。件数母数は非公表、日本の全小売を表す統計ではありません。CVRは率の前年比で、10ポイント上昇ではありません。

取引件数は注文の回数、平均注文額は一回当たりの金額です。注文が増えても、一回に使う金額の減少が大きければ、売上は下がります。店舗でいえば、レジを通る回数が増えたことと、レジに入った金額が増えたことを分ける関係です。

コンバージョン率は、訪問などから購入へ至る割合を見る指標です。「買う人を注文へ進める力」と「一回に買ってもらう金額」を分けて見ると、改善の候補を絞りやすくなります。なお、取引件数は注文回数で、一人の複数注文も含みます。

次の判断につなげるには、平均注文額が下がった中身を見てみるとよいでしょう。同じ商品を値下げして売ったのか、低価格の商品が多く選ばれたのか、一回に買う点数が減ったのか。それぞれ必要な改善が変わります。商品別の価格と数量に分ければ、値引きを見直すのか、組み合わせ提案を改善するのかという判断に進めます。

前年比を見たら、次は増えた売上の中身を調べる

前年比は商戦の実績を把握する出発点です。そこから、どの商品が伸び、どの顧客が増え、どれだけ利益が残ったかへ進みます。出店や取扱商品の拡大で増えた売上と、既存店・既存商品の伸びを分けると、販促によって改善した部分を調べやすくなります。

たとえば、既存商品の販売を比べる際には、開催期間や曜日、価格条件もそろえます。広告の効果を詳しく調べるなら、似た条件の対象で広告の有無を変えるなど、実施しなかった場合と比べられる設計を用意します。

実務では、開催前・開催中・開催後をつなぎ、新規顧客と既存顧客の注文を分けて集計します。そのうえで値引き後の粗利益と広告費を確認する。この順序なら、単月の売上速報を、次回の値引き幅や広告配分を決める材料へ変えられます。前年比自体は販促の因果効果ではないため、施策単独の効果を知りたいときには比較条件を設計します。

企業はどう活用する?事前に候補へ入り、12月の商戦につなげる

ブラックフライデーは、12月の年末商戦まで含めて購入先に選ばれる機会です。 開催前は商品の特徴と選ぶ理由を伝え、当日は価格・特典・購入条件で後押しする。参加の意義、接触の時期、割引の採算を順に考えると、企画の判断をつなげやすくなります。

キャンペーン実施企業は12月も伸長――単日セールで終わらせない理由

ブラックフライデーへの参加を考える理由は、当日の売上だけにありません。クリスマスを含む12月の商戦でも、購入先として選ばれる機会を得るためです。

Criteoが2024年に公表した2023年の分析では、ブラックフライデーのキャンペーンを実施した小売業者の12月売上は平均28%増、実施しなかった小売業者は5%減でした。比較基準は10月1~28日の平均です。翌年との比較ではなく、通常期から年末へどのように売上が動いたかを見ています。

2023年の12月売上は、ブラックフライデーキャンペーン実施小売が平均28%増、非実施小売が5%減。基準は10月1~28日の平均。
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出典:Criteoの2024年発表。2023年分析、各年10月1~28日の平均を基準に比較。調査は国内1,000超の小売業者・ブランドのオンライン売上を対象とし、この2群の個別母数は非公表。12月全体の観測グループ比較であり、キャンペーン単独の因果効果やBF購入客の再購入を測った値ではない。

この差は、11月の割引額だけでなく、年末に買い物をする人の購入先候補を早めに得るという視点を与えてくれます。消費者はブラックフライデーで商品や店を比較し、12月にも贈り物や年末の買い物をします。企業側は、年末まで売りたい商品群と顧客を見据え、ブラックフライデーをその接点を作る商機として位置付けられます。これは観測結果を踏まえた販促上の提案です。

たとえば冬の家電を扱う企業なら、開催前に用途や機種の違いを理解してもらい、ブラックフライデーの価格・特典を選ぶきっかけにします。贈り物にも向く商品なら、年末の利用場面まで含めて商品を知ってもらう設計にできます。全商品を一律に安くするより、どの商品を年末商戦の入口にするかを先に決めるほうが、広告と値引きの配分を考えやすくなります。

この年末の商機に向けて、いつから接触を始めるとよいのでしょうか。次の購買データが、その時期を考える手掛かりになります。

平均26日は、当日の売り場より前に比較が始まっている手掛かり

Criteoが2026年に公表した別の分析では、2025年のブラックフライデー週末に購入した人について、観測された初回の商品ページ接触から購入までが平均26日でした。複数のリテーラーを閲覧した人では、平均約4ブランドが比較対象になっています。買う直前だけでなく、比べている段階で情報を届ける必要があると考えられます。

観測された商品ページの初回接触から購入まで平均26日。認知・比較・条件確認・購入の段階ごとに企業が伝える情報は異なる。
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出典:Criteoの2025年購買分析を基に作成。26日は観測接触から購入までの平均で、欲しいと思い始めた日ではありません。各段階の長さを測った図ではなく、下段は販促設計上の整理です。

購入日より前に比較が進んでいるなら、その段階で候補に入る準備が、販促の出発点になりそうです。比較の候補に入る段階では、何ができる商品か、違いは何か、自分の用途に合うかが分かる情報に役割があります。購入が近づけば、価格・在庫・配送のような実行条件の比重が高まります。

たとえば、複数の掃除機を比較している人に、当日初めて機種名と割引率だけを見せる場面を考えます。その機種が部屋の広さや床材に合うのか、保管できるのかが分からなければ、割引の大きさだけでは選びにくいままです。先に用途や比較点が理解できていれば、セールの価格は、選択を進める最後の条件として働きます。

平均26日を、そのまま全商品の告知開始日にする必要はありません。自社商品の閲覧から購入までの期間に照らすと、比較される時期に合わせて情報を用意しやすくなります。家電なら用途や機能比較、日用品なら容量と単価の情報を先に整え、開催が近づいたら価格・在庫・配送条件を伝える。商品を理解するための情報と、注文を決めるための情報を使い分けてみるとよいでしょう。

商品を知る段階と比較する段階で必要な情報を分ける基本は、購買ファネルの解説でも説明しています。今回は、その過程が特定の商戦の購入日より前に存在する点に注目しています。

当日の販促にも、発見と最後の判断を助ける役割がある

当日の販促は、来店・訪問した人に新しい商品を知ってもらい、最後の購入判断を助けます。予定外購入の経験を持つ人もいるため、売り場での発見には役割があります。比較済みの商品についても、在庫があるか、いつ届くか、支払総額はいくらかを確認して、初めて購入を完了できます。

事前の施策と当日の施策を競合させるより、担当する役割を分けると分かりやすくなります。事前は商品や店を候補にするための情報、当日は選択を実行できる条件と商品との出会いです。前者だけでは購入の障害が残り、後者だけでは候補に入らない人を取りこぼします。

たとえば商品広告のクリックが増えても、配送予定が商品ページで分からず離脱しているなら、必要なのはさらに大きな割引とは限りません。店頭で目当ての商品が欠品している場合も、宣伝を増やすだけでは体験が良くなりません。比較から購入までを一つの流れとして見ると、広告以外の改善箇所が見えてきます。

接触したばかりでも購入意欲の高い人がいる、という違いについては、購買意欲と訴求の解説が参考になります。セールでも、接触からの日数だけで買いたい気持ちの強さを決めないことが重要になります。

なぜ安く売るのか――値引きと利益を分けて考える

店が値引きを行う理由には、購入を後押しすること、新しい客に利用してもらうこと、在庫を販売することなどがあります。利益の一部を手放しても、販売数量や顧客との関係から得られるものがあると考えるためです。自社では、在庫を動かす施策なのか、新規顧客を獲得する施策なのかを先に決めると、許容できる値引き幅を判断しやすくなります。

税抜価格の仮定例で、通常1万円、原価6,000円の商品を考えます。通常の一個当たり粗利益は4,000円。これを8,000円で売ると粗利益は2,000円です。価格を2割下げても、粗利益は2割減ではなく半分になります。

仮定例。通常価格1万円・原価6000円なら粗利益4000円、2割引8000円なら粗利益2000円。通常100個と同じ粗利益40万円には200個必要。
図をタップ・クリックすると拡大できます。

編集部の仮定計算。税抜、原価は一個当たり6,000円で一定。粗利益は広告・配送・決済・人件費等を控除する前の金額です。実在企業の利益率ではありません。

通常100個なら売上100万円、粗利益40万円です。値引きして150個売れば、売上は120万円へ増えますが、粗利益は30万円へ減ります。200個売って初めて粗利益40万円になります。値引き後の粗利益を計算したうえで、さらに同じ値引き額を費用として引くと二重計上になります。

200個を売るための広告費や梱包・出荷費用も加わります。そこで、企画段階で値引き後の一個当たり粗利益を出し、必要な販売数量と追加費用を計算します。売上目標だけを設定するより、利益を残すために何個売る必要があるかが明確になります。

一方、今回の利益だけでは評価し切れない施策もあります。初めて購入した人が、後に値引きのない商品を買ってくれる場合などです。新規顧客の獲得を目的にするなら、初回の利益に加え、どの顧客がいつ再購入したかを追います。再購入時の粗利益と追加費用まで積み上げることで、最初の値引きや獲得費用を回収できたかを判断できます。

まとめ:ブラックフライデーを、年末年始に選ばれる入口に

米国ではクリスマス商戦の幕開けを知らせる目安、日本では11月から年末の買い物を呼び込む機会。由来や日本での導入経緯を見ると、ブラックフライデーには一日の安売り以上の役割があることが分かります。

キャンペーン実施小売に12月の売上伸長が見られたことは、参加の価値を11月だけで判断しない理由になります。その機会に向けて、購入前から特徴や選ぶ理由を知ってもらい、当日は価格や特典で決断を後押しする。平均26日という購買データも、こうした役割分担を考える手掛かりになります。

ただ、売れる数が増えても、値引きで粗利益が減る場合があります。年末の売上を期待することと、今回の割引・広告費を採算に合わせることを、一緒に考えるのが大切ではないでしょうか。

ブラックフライデーでどの商品を知ってもらい、クリスマスや年始のセールでどんな買い物につなげたいのか。単発の値引き企画から少し視野を広げ、年末年始を通じて選ばれるための顧客との接点を設計してみるのもよいのではないでしょうか。

参考資料

本記事の文章・表・図解・グラフは、Skill Business Architecture Labが独自に編集・作成しています。

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