リユース市場はなぜ拡大?中古品を選ぶ理由と企業業績

中古が伸びる。欲しいを残す。データから読む市場と選択 マーケティング事例・ニュース分析

物価が上がれば、新品より中古品を選ぶ人が増える。リユース市場の成長は、この説明である程度理解できます。しかし、安さだけでは、ブランドバッグやトレーディングカードにお金が集まる理由まで説明できません。

生活費を抑えたい一方で、好きな服や趣味まで諦めたくない。そこで、買うことをやめる代わりに、中古品を探し、不要になったものを売る。リユース市場には、こうした「欲しいものを残すための買い方」も広がっています。

市場規模の推移、購入理由、ブックオフ・ハードオフの決算を並べると、中古品が売れているという一言では見えない需要の違いが分かります。

リユース市場とは?市場規模はどこまで拡大しているか

リユースは、使える製品をそのまま再使用することです。素材に戻すリサイクルと異なり、中古の服、本、家電、楽器などを再び使います。販売経路には中古店や中古ECなどの企業と個人の取引、フリマアプリなどの個人間取引があります。

リユース経済新聞の推計では、2025年の市場規模は3兆4,636億円。前年から6.2%増え、2009年以降16年連続で拡大しました。

対象年 市場規模 前年比
2022年 2兆8,976億円 +7.4%
2023年 3兆1,227億円 +7.8%
2024年 3兆2,628億円 +4.5%
2025年 3兆4,636億円 +6.2%

出典:リユース経済新聞の各年市場規模推計。中古自動車を含まない系列です。環境省による中古自動車を含む最終需要ベースの市場推計とは範囲が異なります。

中古自動車を含まないリユース市場は2022年2兆8976億円、2023年3兆1227億円、2024年3兆2628億円、2025年3兆4636億円へ拡大した
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名目の販売額が増えたことと、購入者数や購入点数が同じ割合で増えたことは別です。単価の上昇、高額商品の構成比、訪日客の購入などでも市場の金額は変わります。どんな商品が、どんな理由で売れたかを合わせて見ると、市場の変化を捉えやすくなります。

中古品が選ばれる理由は、安さ・希少性・再販価値

オークネットは2026年、全国18~69歳の男女9,877人への調査と、中古ファッション購入者2,535人への詳細調査を公表しました。中古品の購入経験者は53.6%で、中古はすでに珍しい買い方ではありません。

ただし、購入する理由は商品によって違います。

購入対象 調査で確認できる購入理由 消費行動としての意味
ノーブランド品 新品より安く買えた:59.3% 同じ用途をより少ない支出で満たす
ハイブランド・ブランド品 限定品・希少品:20.7% 新品売場にはない商品を探す
ハイブランド・ブランド品 資産価値を感じた:14.9% 使用後に売ることも含めて考える

出典:オークネット「中古品購入に関する実態把握調査」2026年6月公表。理由の数値は各購入対象についての回答で、全人口に占める割合ではありません。

中古なら何でもよい、というわけでもありません。同調査では、ハイブランド・ブランド品の衣類で「未使用または新品同様」を求める人が30.2%いました。価格を抑えながら状態にもこだわる買い手がいることが分かります。

例えば、気に入ったバッグの新品価格が上がったとき、バッグへの関心自体を失うとは限りません。予算内の中古を探す方法があります。一方、販売が終わった限定品は、新品の安い代わりではなく、中古市場にしかないこと自体が購入理由になります。

この二つを一緒にすると、値下げさえすれば売れるという読み違いにつながります。

ブックオフ・ハードオフの業績はどうなっている?

市場が伸びていても、個々の企業の利益が増えているかは別の問題です。代表的な二社の通期決算では、どちらも増収増益でした。

企業・決算期 売上高 前期比 経常利益 前期比
ブックオフグループHD・2026年5月期 1,301.23億円 +9.2% 47.20億円 +20.9%
ハードオフ・2026年3月期 392.76億円 +17.1% 34.89億円 +2.5%

出典:各社決算短信・決算説明資料。決算期間と事業範囲が異なるため、利益率の優劣を直接比較する表ではありません。

ブックオフは、本以外の需要も取り込んでいる

ブックオフの2026年5月期説明資料では、国内既存店の商材別売上の伸びに差が見られます。本は前年比3.7%増だったのに対し、トレカ・ホビーは17.1%増、貴金属・時計・ブランドバッグは13.9%増でした。

本の節約需要だけでなく、趣味やブランド品の売買も業績を支えていると読めます。既存店売上が伸びた背景を「生活が苦しいから中古本を買う人が増えた」とだけ説明するのは狭すぎるでしょう。

ハードオフは増収でも、費用の増え方が重い

ハードオフの国内既存店売上は4.3%増でした。全社売上17.1%増には、新店やエコノス69店舗の連結開始も寄与しています。

一方、営業利益率は9.6%から8.6%へ低下しました。新店の開業費、人件費、減価償却費、買収関連費用などが増えたためです。売上・利益とも過去最高ですが、市場拡大がそのまま利益率改善になるわけではありません。

リユース店は、売れる商品を買い取り、査定・検品し、在庫を回転させる商売です。買い手の需要だけでなく、仕入れ競争と運営費まで見て初めて企業業績を理解できます。

物価高でも趣味は諦めない――変わるのは買い方

食品や洗剤のような消耗品では、使いかけの商品を中古で買う選択は広く取りにくいものです。一方、服、楽器、ゲーム、カメラ、ブランド品などは、状態や真贋を確認できれば中古が選択肢になります。

そのため物価高への対応も、すべての商品で同じにはなりません。生活必需品では数量や銘柄を変え、趣味の分野では中古や売却を使って予算を調整することがあります。

リユース需要を読むときは、次の三つを分けると整理しやすくなります。

需要のタイプ 欲しいもの 事業者に求められる情報
新品の代わりに買う 同じ用途を予算内で満たす商品 新品との価格差、状態、保証
中古だから買う 廃番品・限定品・ヴィンテージ 希少性、来歴、真贋
売ることも考えて買う 使用後も価値が残る商品 買取相場、流通量、売却の手間

高額な中古品が売れることも、消費者全体の購買力が回復した証拠とは限りません。限られた予算を好きな分野へ集中させる行動と、資産性を意識した売買が重なっていると考えると、安さと高額消費が同じ市場に存在する理由が見えてきます。

玩具やホビーへの大人の支出については、キダルト市場の分析でも詳しく整理しています。

リユース市場の今後を考えるときの注意点

リユース市場の拡大は、新品メーカーにとって需要消失だけを意味するものではありません。中古の売却価格が保たれれば、新品を購入する際の実質的な負担感が下がることもあります。例えば購入価格から将来の売却額を差し引いて買い替えを考える人にとって、二次流通の存在は購入を後押しします。

逆に、同じ用途を満たす状態のよい中古が十分に出回れば、新品の価格だけを上げても選ばれにくくなります。新品の保証、長く使える設計、修理対応など、価格差の理由が問われます。

物価高を背景に市場が伸びたとしても、景気が戻ればすべて新品へ戻るとは限りません。一度、中古でも目的を満たせると分かれば、その買い方が定着する余地があります。値上げ後の選び直しについては、値上げと消費者の選択にもつながる問題です。

よくある質問

リユースとリサイクルの違いは?

リユースは製品をそのまま再使用すること、リサイクルは素材などに戻して再利用することです。中古の服を着るのはリユース、繊維を再資源化するのはリサイクルです。

リユース市場が伸びるのは節約のためですか?

安さは大きな理由です。ただ、限定品の入手、趣味の収集、使用後の再販価値なども理由になります。市場全体と個別商品の需要を分けて見ると理解しやすくなります。

まとめ|欲しいものを残すために、中古を選ぶ

リユース市場は拡大していますが、その中身は一様ではありません。生活費を抑える購入もあれば、好きなものを手に入れるための購入もあります。

消費者が諦めたのは、その商品への関心ではなく、新品を従来の価格で買う方法かもしれません。品目、価格帯、状態、売却まで含めて見ることが、伸びる中古市場の需要を理解する手掛かりになります。

参考資料

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