プライベートブランドはなぜ選ばれる?価格・品質と定着

安いPB商品。定番になる?。データから読む市場と選択 マーケティング事例・ニュース分析

いつものメーカー品が値上がりしたので、少し安いプライベートブランドを試す。食べてみて、使ってみて、特に困らなければ次も買う。物価高は、このように日常の定番を見直すきっかけになります。

一度、安い商品で十分だと分かれば、家計に余裕が戻っても高い商品へ戻る理由は弱くなります。メーカーにとっては、値上げを理解してもらうだけでなく、価格差を払って選ぶ理由を示す問題です。

PBとNBの違い、購入状況の推移、価格と品質への評価から、安さをきっかけにした選択がどのように定着するのかを考えます。

プライベートブランドとは?PBとNBの違い

プライベートブランド(Private Brand、PB)は、小売店や卸売業者などが企画して展開する独自ブランドです。トップバリュ、セブンプレミアム、コープ商品、CGCなどが例です。

対してナショナルブランド(National Brand、NB)は、メーカーが展開し、複数の小売店などで販売するブランドです。

比較 PB NB
ブランドを企画・展開する主体 小売・卸など メーカー
主な販売場所 その企業や加盟店など 複数の小売店など
消費者が選ぶ理由 価格、品質、独自商品、買い慣れ 味や性能、ブランドへの信頼、使い慣れ
製造 外部メーカーへの委託等もある 自社製造・委託など

PBは、販売量の見通しや仕様をもとに製造を依頼し、販促や流通などを含めた費用を調整できます。ただし、すべてが最安商品ではありません。品質を高めた商品や、独自の味・機能を持つ商品もあります。

また、有名メーカーが製造しているPBでも、NBと原材料や配合、容量、仕様が同じとは限りません。製造会社の名前だけで品質の同一性は判断できません。

PB商品はどのくらい買われている?購入実態と推移

マイボイスコムが2025年10月に1万1,196人へ行った調査では、PB購入経験者は9割弱、週1回以上買う人は4割弱でした。同じカテゴリーでPBを買うことが多い人は3割強で、過去調査から増加傾向です。

小売側のデータでは、全国スーパーマーケット協会の年次統計を掲載した2026年版白書に、次の推移があります。

調査年 PB商品の導入率 PB商品の売上高比率
2021年 70.6% 9.3%
2022年 76.5% 10.3%
2023年 80.5% 10.1%
2024年 81.9% 8.9%
2025年 78.6% 9.9%

出典:全国スーパーマーケット協会「2026年版スーパーマーケット白書」年次統計のPB項目。各年の業界平均推計であり、消費者の購入率や全国小売市場全体のPBシェアではありません。

導入が広がってきた一方、売上比率は毎年一直線に上がっているわけではありません。「PBが伸びている」とまとめるより、消費者が試す機会、売場での取扱い、販売構成を分けると実態を理解できます。

選ばれる理由は安さが最多。ただし品質や好みもある

マイボイスコム調査で、直近1年間のPB購入者が選ぶ理由は「価格が安い」が71.6%で最多でした。「その商品が気に入っている」「品質がよい」も各2割台です。

購入ジャンルは加工食品が70.6%、お菓子・デザート類が34.3%、飲料と日用品・トイレタリー用品が各3割弱でした。いずれも購入者への複数回答で、市場の売上構成比ではありません。

判断する場面 消費者が比べることの例
初めて買うとき いつもの商品との価格差、失敗した場合の負担
使った後 味、使い勝手、品質に納得できたか
次に買うとき また買う理由があるか、NBへ戻すほどの差があるか

入口は節約でも、継続の理由は同じとは限りません。安くて不満が少ない商品は、そのまま「いつもの商品」になれます。PBでしか買えない味や使い勝手を気に入る場合もあります。

価格のために、どこまで品質を譲っているのか

エクスクリエは2026年6月、週1回以上スーパーを利用する20~69歳女性1,503人を調査しました。そのうちPB購入者1,051人について、通常の買い物とPB購入時の重視点を比較しています。

重視する点 通常の買い物 最も買うPBの購入時
価格 87.0% 83.9%
品質 62.2% 52.4%
容量 56.2% 48.4%
産地・原産国 43.6% 31.0%

出典:エクスクリエ「スーパーマーケットのプライベートブランドに関する調査2026」、複数回答。

PB購入時は品質や原産国を挙げる割合が低くなっています。価格を優先するとき、ほかの条件に求める水準を調整していると読むことができます。

重要なのは最高品質かどうかだけでなく、その用途で十分な品質かどうかです。毎日の調理に使う食品と、来客時に選ぶ菓子では、価格差を払う理由も変わります。

物価高で試したPBは、景気が戻っても定番になるか

安い商品を選んで特に不満がなければ、家計に余裕が戻っただけで高い商品へ戻るとは限りません。これは、現在の調査が景気回復後を追跡した結果ではなく、試用と定着の関係から考えられる消費行動です。

例えば、以前はブランド名で選んでいた日用品をPBへ替え、使い勝手に差を感じなかったとします。その後、所得が増えても、差を感じないものに余分なお金を払う理由は生まれにくいでしょう。浮いた予算を外食や趣味へ回す選択もできます。

一方、試してみて味や耐久性が合わなければ、NBへ戻る理由になります。PBに替えた人を一括りに節約層と捉えるより、「どこまで代替でき、どの違いは残ったのか」を見るほうが、ブランド選択を理解できます。

NBメーカーは、価格差の理由を再確認する局面

メーカーがコスト上昇を説明することと、消費者がその商品を買い続けることは別です。原材料費が上がった事情を理解していても、同じ用途を安い商品で満たせれば乗り換えることがあります。

消費者が残したい違い NBが伝えられる内容の例
味や香りが好みに合う 具体的な特徴、用途別の使い分け
性能・耐久性で差がある 使用条件と比較できる性能情報
安心して長く使える 品質管理、保証、問い合わせ対応
そのブランドが好き 積み上げた経験、商品への思い入れ

広告で知っているだけの違いと、使って実感できる違いは同じではありません。安い代替品を一度試した顧客には、従来の認知だけでは戻ってもらいにくくなります。

値上げの背景と選び続ける理由を分けて考える点は、値上げと消費者の選択でも扱っています。

よくある質問

PB商品はなぜ安くできるのですか?

販売量や仕様を見込んで製造を依頼し、販促・流通なども含めて費用を調整できるためです。商品ごとの設計は異なり、すべてのPBがNBより安いわけではありません。

有名メーカー製のPBなら、NBと中身は同じですか?

同じ製造会社でも、配合、原料、容量、仕様は異なることがあります。製造元に加え、表示や実際の使用感を比べると違いが分かります。

PBが売れるのは生活が苦しい人だけですか?

価格は大きな購入理由ですが、商品そのものへの好みや品質も理由に挙がります。必要十分な品質を安く買うことは、所得にかかわらず合理的な選択になります。

まとめ|節約で始まった選択が、普段の選択に変わる

PBは一時的に我慢して買う商品だけではありません。安さを入口に試し、納得できれば、定番へ変わります。

メーカーにとって問われるのは、景気が戻るかどうかだけではなく、その価格差に顧客が何を見いだしているかです。物価高は、消費者がブランドの価値を使い直して確かめる機会にもなっています。

参考資料

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本記事の文章・表・図解・グラフは、Skill Business Architecture Labが独自に編集・作成しています。引用・紹介する場合は、引用箇所が分かる形で、記事名・サイト名・記事URLをご記載ください。

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