Adobe Analytics認定資格とは?種類・難易度・費用

Adobe Analytics認定資格を、分析・実装・設計の役割、種類とレベル、費用と更新、仕事での学習活用から理解する。 デジタルマーケティング経営

Adobe Analyticsを使って毎月レポートを出していても、「この集計は誰の、どの行動を含むのか」「必要な数字が出ないとき、レポートの設定と計測の実装のどちらを見直すのか」で迷うことがあります。担当者を育てる上司も、分析をする人と、データを集める仕組みを作る人に、同じ勉強を勧めてよいとは限りません。

Adobe Analytics認定資格は、こうした仕事を分析・活用、実装、全体設計という役割に分けて評価する、Adobeの製品認定です。選ぶ際はProfessional・Expert・Masterというレベルだけでなく、何を担当する資格かを先に見ると、自社の仕事と結びつけやすくなります。

この記事では、2026年10月29日時点の公式案内を基に、現行の資格、学ぶ内容、試験・費用・言語と、経験者が学び直す意味を整理します。

Adobe Analytics認定資格は、何をする人の資格か

認定主体は、米国のソフトウェア企業Adobeです。Adobe Analyticsは、Webサイトやアプリの利用状況を収集し、訪問・閲覧・購入などを分析する製品です。その個人向け認定は、Adobe Customer Experience Certification Programで提供されています。

例えばマーケティング部門には、施策の成果を比較し、対象顧客の行動を調べ、関係者へ報告する仕事があります。一方、エンジニアや導入支援会社には、何を計測するかを定義し、サイトから必要なデータを送り、正しく記録されるか確認する仕事があります。この担当の違いが、資格の分かれ方に表れています。

PhotoshopやIllustratorなどの「アドビ認定プロフェッショナル」とは別の資格体系です。また、企業に対するパートナー認定や、別製品であるCustomer Journey Analyticsの認定とも区別します。採用や育成で確認するなら、「Adobe資格あり」だけでなく、製品・職務・レベル・試験コードまで見る必要があります。Adobe認定カタログ

日本で学ぶ意味も、まず自社や支援先でAdobe Analyticsを使う仕事があるかで変わります。製品を問わないアクセス解析の基礎を学びたい段階と、Adobe固有の集計・実装を理解したい段階では、必要な学習が違います。今回確認した公式案内では、Adobe Analytics認定に限った日本の保有者数や、現行試験の合格率は確認できませんでした。

製品を限定せず解析の基本を学ぶならウェブ解析士、GA4の製品知識を深めるならGoogle Analytics認定資格が比較対象です。Adobe Analytics認定は、Adobeを使う分析・計測業務との対応で選びます。

Adobe Analytics認定資格の種類と、分析・実装・設計の役割

主な5資格と担当する仕事

現在の個別試験ページで確認できる主要な選択肢は、次の5資格です。ここでいう経験は、公式が示す推奨経験であり、受験時に年数を証明する認定審査とは異なります。

資格・現行試験コード 主な担当と学習範囲 公式が示す経験の目安
Business Practitioner Professional/AD0-E214 業務上の問いを指標に置き換え、Analysis Workspaceで集計・可視化・共有する Adobe Analyticsを3〜6か月程度使った経験
Business Practitioner Expert/AD0-E216 高度なレポートに加え、レポートスイートの管理、データの入出力、検証を扱う レベル表記は1〜3年。基本的なレポート・セグメント・計算指標の利用を想定
Developer Professional/AD0-E213 計測設計書を読み、変数・ルール・タグを設定して動作を検証する Web・モバイルへの実装経験6〜12か月
Developer Expert/AD0-E209 要件から計測設計・実装・トラブルシューティングまで担当する 実装コンサルタントなどとして約2年
Architect Master/AD0-E207 計測全体の設計、関係者への仕様提示、実装後の検証・運用を組み立てる アーキテクチャ、データレイヤー、タグ管理などで3〜4年

出典:Business Practitioner Professional、Business Practitioner Expert、Developer Professional、Developer Expert、Architect Master

分析担当者が全員Architectを目指す、という順序ではありません。レポートの活用が仕事ならBusiness Practitioner、計測を組み込むならDeveloper、複数の要件や担当者をまとめて設計するならArchitectが検討の起点です。

2026年の切り替えでは、資格名だけでなく試験コードを確認する

Business Practitionerの現行ページはProfessionalがAD0-E214、ExpertがAD0-E216です。検索で見つかる旧AD0-E212・AD0-E208の問題構成や言語を、そのまま新版へ当てはめないようにします。

特に旧ExpertのAD0-E208には日本語案内が残っていますが、新版AD0-E216の個別ページの言語は英語です。日本語での受験を希望する場合は、予約できる試験コードと言語を確認してください。また、Data Analyst ProfessionalのAD0-E215は、公式ページで2026年10月25日をもって予約・予約変更受付終了が案内されています。旧Expertの移行案内、Data Analyst Professionalの終了案内

分析担当者は、レポートの操作から何を深めるのか

Professionalは、業務の問いと集計の条件をつなぐ

Business Practitioner Professionalの現行範囲は、Workspaceでのレポート作成26%、セグメントや計算指標などの利用28%、要件の把握20%、分析18%、プラットフォーム8%です。画面操作に加え、事業上の要件からKPIを選び、分析結果を目的に沿って伝えることが含まれます。公式試験範囲

例えば「商品Aを見た人の行動を知りたい」という依頼でも、商品Aのページを見た瞬間だけを見るのか、その訪問全体を見るのか、別の日の訪問まで含めるのかで、集計結果の意味は変わります。

Adobeの公式教材は、この違いをセグメントの「コンテナ」で説明しています。コンテナは、条件に一致したデータをどの範囲まで含めるかを決めるものです。次の表は、公式仕様を商品ページの閲覧に当てはめた説明例です。

選ぶ範囲 「商品Aのページを閲覧した」という条件で含めるデータ 読み取るときの視点
ヒット 条件に一致する個々の計測データ 商品Aのページ上で記録された内容を見る
訪問 条件を満たした訪問全体 同じ訪問でほかに何を見たか、購入まで進んだかを見る
訪問者 条件を満たした訪問者について、対象期間内のほかの訪問も含むデータ 別の訪問を含めて行動を捉える
商品Aのページ閲覧を条件にした説明例。ヒットは商品Aの記録、訪問は商品一覧から購入までの1回目の訪問、訪問者は商品Bを見た2回目も含めた対象期間内の記録を含む。
図をタップ・クリックすると拡大できます。

同じ「商品Aを見た人」という名前を付けても、定義が違えば数字はそろいません。担当者に必要なのは、表を作れることに加えて、その表がどの範囲の行動を表すのか説明できることです。既存レポートを引き継いで使っている人なら、学習を通じてセグメントの定義を読み直し、依頼された問いに合う範囲へ直す使い方ができます。公式セグメント仕様、公式チュートリアル

新版Expertは、集計される前の設定まで扱う

Business Practitioner Expertを、単に「難しいグラフを作る資格」と理解すると、現行範囲とのずれが生まれます。AD0-E216ではレポートスイートの管理が50%を占めます。レポートスイートは、収集したデータと、その処理・レポートの設定を管理する単位です。

ここには、カスタム変数やイベント、ボットの除外、内部URLのフィルター、処理ルール、分類、マーケティングチャネルのルールなどが含まれます。残りもデータの入出力14%、デバッグ・検証12%、高度なWorkspace24%で構成されます。新版Expertの公式範囲

広告経由の成果を確認するときも、表示されたチャネル名を読むだけでなく、どのルールで流入が分類されているかを調べる仕事があります。レポートの数値が想定と違うときに、分析条件だけでなく、収集後の処理や分類までたどれる担当者向けの学習です。日常のレポート作成はできるが、管理設定は別部署に任せてきた人にとって、補う範囲が明確になります。

実装担当者と設計者は、何をどこまで学ぶのか

Developerでは、分析で必要な情報を実際に収集する側を扱います。中心になる資料の一つが、SDR(Solution Design Reference)という計測設計書です。何を測るか、どのデータをどの変数へ入れるか、どのタイミングで送るかを、実装担当者が理解できる形にします。

Developer Professionalは、設計書を解釈し、ルールやデータ要素などを設定して、送信されたデータとレポートを検証する範囲です。Developer Expertでは、要件と設計、Web・モバイルの実装、デバッグへと担当が広がります。Architect Masterは、要件を聞き出し、全体の計測設計を作り、実装後の検証や運用につなげる役割です。Masterの試験ではソリューション設計が54%を占めます。Developer Professional、Developer Expert、Architect Master

自社で「会員登録完了」を測りたい場合にも、分析担当者が必要な指標を決め、実装担当者が送信条件を組み込み、設計者が他の計測との整合を取る、といった分担があります。資格の学習範囲をこの分担に対応させると、担当者に求める成果物も、レポート、計測設計書、実装・検証結果として具体化できます。

Adobeの実装入門教材も、分析要件、レポートスイート、ディメンション・指標、担当者の役割を順に扱っています。コードを書く前に、事業側が欲しい情報と実装の対応を理解する学習です。公式の実装入門

Adobe Analytics認定資格の試験・費用・言語・更新

試験はオンライン監督付き。Professionalは125米ドルから

次の金額は公式のglobal価格です。日本円換算や購入時の税額を加えた総額ではなく、決済時には適用価格を確認します。

試験 試験時間 合格基準 受験料 個別ページの試験言語
BP Professional/AD0-E214 100分 31/50 125米ドル 英語
BP Expert/AD0-E216 100分 31/50 225米ドル 英語
Developer Professional/AD0-E213 100分 31/50 125米ドル 英語
Developer Expert/AD0-E209 120分 31/50 225米ドル 英語・日本語
Architect Master/AD0-E207 100分 33/50 225米ドル 英語

出典は前掲の各公式試験ページ。BPはBusiness Practitionerの略です。

5資格とも、カメラを使うオンライン監督付き試験として案内されています。Adobe Certification Portalで対象の試験を選び、支払い・予約を行います。公式研修の修了は受験の必須条件ではありませんが、Adobeは研修と実務経験を組み合わせた準備を勧めています。

受験環境や本人確認書類も事前確認が必要です。初回不合格後の再受験は24時間以上、2回目以降の不合格後は15暦日以上空け、再受験にも新しいバウチャーが必要になります。公式FAQ

日本語教材と、日本語で受験できる資格を分ける

日本語のExperience Leagueには、セグメントや実装の解説があります。一方、現行の試験と認定ポータルの教材は、資格ごとに言語が異なります。

確認するもの 日本から学ぶ際の整理
本試験 Developer Expert AD0-E209は英語・日本語、新版BP Expert AD0-E216は英語。公式一覧には旧BP Expertの日本語版も掲載されているため、受験可能なコードと言語は予約時に確認する
公式教材 日本語の製品ドキュメント・チュートリアルあり。試験別の準備教材は利用するページの言語を確認する
非公式教材 出版・講座ごとに対象コードと言語を確認。旧版の対策記事を現行試験の条件として使わない
予約・試験監督・問い合わせ これらすべてを日本語だけで完結できるかは、今回確認した公開案内では確認できなかった

会社が受験を支援する場合は、受験料だけでなく、英語資料を読む時間と、製品を操作できる環境を用意できるかまで見ておくと、学習計画を立てやすくなります。

有効期間は2年。更新は短いモジュールで行う

認定の有効期間は2年です。現行の更新制度では、有効期限の180日前から、各約15分の更新モジュール2本(計約30分)に合格して更新します。Adobe Analyticsは無料更新の対象で、資格を維持するために毎回同じ本試験を受け直す仕組みではありません。

通常、失効後に同じ認定を再取得する場合は本試験と受験料が必要です。なお、公式FAQには2026年11月の期間限定措置として、2025年11月1日〜2026年10月31日に失効した対象認定の再有効化も案内されています。既に資格を持っている人は、認定管理画面の対象表示と期限を確認してください。公式の更新FAQ

難易度と勉強時間は、現在の担当範囲から考える

入門講座の時間と、合格までの準備時間は違う

公式の「Adobe Analytics Foundations」は5モジュール、表示時間は1時間15分です。データの収集、利用者の役割、Analysis Workspaceの基本や製品機能を知る入口になります。公式Foundations講座

合格までの標準学習時間は、今回確認した公式案内では確認できませんでした。経験年数だけで決めるより、試験範囲と普段の仕事の差を見るほうが具体的です。

現在の経験 準備で厚くする部分
Adobe Analyticsをほぼ使ったことがない 入門教材に加え、Workspaceで指標・ディメンション・セグメントを実際に組み合わせる。BP Professionalでも3〜6か月の製品経験が推奨される
日常的にレポートを作っている 普段使わないセグメント、計算指標、共有設定などを、現行の試験範囲と照合する
レポート作成から新版BP Expertへ進みたい 管理設定、データの入出力、検証に触れる時間を確保する
計測の実装経験がある 設計書、Web・モバイル、タグ、検証のうち、担当外だった領域を補う

現行BP Professionalには、同じ試験範囲に基づく公式Practice TestとExam Prep Guideが用意されています。まず得意・不得意を確認し、該当する製品ドキュメントと操作へ戻るための教材です。公式Practice Test、公式Exam Prep Guide

経験者の学び直しでは、使い慣れた範囲の外を確認できる

Adobe Analyticsの長年の利用者であるAdam Greco氏は、2020年の体験記で、勤務先から認定取得を求められた経緯を紹介しています。以前より製品を直接使う時間が減っていたことや、技術面への不安があり、教材とドキュメントを読み直したことが細部の理解に役立ったと述べています。当時のBusiness PractitionerとArchitectを受験した経験です。本人の体験記

Developer側では、SHIVAM JOSHI氏が2024年の初回認定について、Web SDK・App SDKの設定、GTMからAdobeへの移行などの実装経験と、公式ガイド・練習テストを組み合わせた準備を紹介しています。複数の実装プロジェクトが、Adobeの仕組み全体への理解を深めたとしています。本人の体験記

前者は経験を持つ人が知識を点検する例、後者は実装経験と教材を往復して理解を広げる例です。いずれも旧時点の本人談であり、現在の試験条件は各公式ページで判断します。

企業は、資格名と一緒に担当する成果物を決める

自社でAdobe Analyticsを運用しているなら、「資格を取る人」を先に決めるより、現在困っている仕事から対象を選ぶと学習を使いやすくなります。

自社の状況 検討しやすい学習 学習と並行して見直す成果物
レポートを引き継いだが、指標やセグメントの意味を説明しにくい BP Professional 指標の定義、セグメント、目的別のWorkspaceレポート
集計結果の違いを、管理設定やデータの流れまで調べたい BP Expert 分類・処理ルールの整理、検証記録、管理担当者への確認事項
計測設計に沿ってタグを実装し、正しく送信されるか確認したい Developer Professional/Expert 計測設計書と実装の対応、テスト結果、修正内容
複数の部署・サイト・実装担当者をまたいで計測を設計する Architect Master 要件と計測項目の対応、全体設計、運用・検証の方針

認定は、製品と職務に対応した知識を確認する材料になります。育成の評価では、資格取得に加え、上の成果物を担当業務で説明・更新できるかを見ると、学習がどこへつながったかを確かめられます。

経営者やマーケティング責任者が、製品の役割と担当者への依頼方法を知りたいだけなら、入門教材と自社の計測設計を読むところから始められます。受験まで必要かは、本人の職務や対外的に認定を示す目的に応じて決めます。

まとめ

Adobe Analytics認定資格は、分析する人、計測を実装する人、全体を設計する人で選ぶ資格が異なります。レベル名よりも、自社で担当する仕事と現行の試験範囲を合わせることが出発点です。

分析担当者なら、セグメントや指標の定義を説明できるか。実装担当者なら、必要な情報を設計書から設定・検証へ落とせるか。経験者も、試験範囲と普段の仕事を照合することで、これまで触れていなかった領域を具体的に見つけられます。2026年の試験切り替えと言語を確認し、必要な役割の学習から選んでください。

参考資料


本記事の文章・表・図解・グラフは、Skill Business Architecture Labが独自に編集・作成しています。引用・紹介する場合は、引用箇所が分かる形で、記事名・サイト名・記事URLをご記載ください。

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