SNSマネージャーとは?初級・上級の違い、費用と企業SNSの育成に使う意味

SNSマネージャーの初級・上級・チーフと、企業SNSの運用を育てる学習を考える デジタルマーケティング経営

企業のSNSを任せるとき、「投稿が上手な人」を選べば十分でしょうか。写真や動画を作る担当者がいても、商品の問い合わせには店舗の協力が必要です。制作を外注する場合も、会社の発信として誰が確認し、何を成果として見るかは残ります。

企業SNSでは、投稿を作る力に加えて、目的、読者、運用する体制、成果の見方、問題が起きたときの対応をつなぐ仕事があります。SNSマネージャーは、日本の一般社団法人ウェブ解析士協会(WACA)が認定する、この企業SNSの運用管理を学ぶ民間資格です。

初級は基本知識、上級は企画書や運用ポリシーを作る演習、チーフは人を育てる認定講師の養成が中心です。同じ「SNSマネージャー」でも、学習内容と認定までの負担は異なります。

この記事では、現行の試験・費用・更新条件を整理したうえで、既にSNSを運用する社員が何を学び直せるのか、企業が誰の育成に使うと意味があるのかを考えます。

  1. SNSマネージャーは何の資格?投稿から運用管理までを学ぶ
    1. 日本のWACAが認定する企業SNSの民間資格
    2. 実際の仕事は「投稿する人」だけでは完結しない
    3. ウェブ広告マネージャーやウェブ解析士との違い
  2. 初級・上級・チーフの違い:知識、運用設計、指導を分ける
    1. 初級:企業SNSの全体像を押さえる
    2. 上級:自分の企画を他者が読める形にする
    3. チーフ:管理職一般ではなく、認定講師を養成する
  3. 試験・難易度・勉強時間は?初級の知識試験と上級の課題負担
    1. 初級は50問・60分。講座の受講も認定条件
    2. 合格率の数字だけでは難易度を比較できない
    3. 上級は講座の前後に課題が続く
  4. 取得・維持費はいくら?講座代と年会費を分けて考える
    1. 初級は33,000円、上級は88,000円
    2. 更新は年会費が基本。上級以上にはプロフィール登録もある
    3. 人数は資格保有の規模であり、仕事の成果を示すものではない
  5. 経験者が学ぶ意味は?投稿の経験を、説明できる運用方針へ広げる
    1. 自分の担当外を含めて、運用を組み立て直す
    2. 経験が豊富なら、新しい知識より更新の接点に意味がある場合も
  6. 仕事では何が変わる?企業SNSの判断を一つの場面で考える
    1. 目的が変わると、同じ投稿の評価も変わる
    2. 外注する作業と、会社で決めることを分ける
    3. 数字の報告を、次の判断へつなぐ
    4. 危機管理も、担当者の気転だけにしない
  7. 企業は誰の育成に使う?資格名より、担当させる仕事から選ぶ
    1. 新任担当・管理職・運用責任者で、必要な学びを変える
    2. 学習の成果と、事業の成果を二段階で見る
    3. 受講後に持ち帰る仕事を、会社側でも用意する
  8. まとめ:投稿の上手さと、企業SNSを運営する力を分けて育てる
  9. 参考資料

SNSマネージャーは何の資格?投稿から運用管理までを学ぶ

日本のWACAが認定する企業SNSの民間資格

SNSマネージャーは、企業のSNSを事業にどう使うかを学ぶ講座と認定資格です。国家資格ではなく、InstagramやLINEなど一つのサービスが認定する製品資格でもありません。WACAはウェブ解析士やウェブ広告マネージャーも認定する日本の団体で、SNSマネージャーでは複数のSNSを扱います。[1]

対象になる仕事は、企業のマーケティング、広報、店舗の情報発信、SNS運用支援などです。社内で「SNSマネージャー」という役職に就くことと、同名の資格を保有することは別です。資格がなくても企業SNSの仕事はできます。

例えば、店舗の雰囲気をInstagramで知ってもらい、関心を持った人を予約案内へつなぐ運用と、既存顧客にLINEで再来店の情報を届ける運用では、期待する行動も情報の出し方も異なります。学ぶ対象は、投稿ボタンの操作だけでなく、こうした役割の設定です。

実際の仕事は「投稿する人」だけでは完結しない

企業SNSには、おおむね次のような仕事があります。担当者一人で全部を抱えるという意味ではなく、誰かが決め、関係者と共有する範囲です。

仕事 現場で決めることの例
戦略・方針 誰に何を伝え、認知・来店・採用などのどの目的を担うか
日常運用 投稿の材料を集める人、制作する人、確認する人、返信する人をどう分けるか
内製・外注 撮影や編集は任せるのか、商品説明の確認や顧客対応は社内に残すのか
効果の確認 表示・反応だけでなく、その先の行動をどこまで把握できるか
危機管理 問い合わせと苦情をどう扱い、誰に報告し、どの判断を責任者へ渡すか

上級講座では、戦略構築、運用体制、内製外注、効果解析、運用レポート、危機管理方針などを扱います。資格学習の意味は、自分が経験してきた範囲と、まだ十分に考えていない範囲を照合できることにあります。[1・3]

ウェブ広告マネージャーやウェブ解析士との違い

SNSマネージャーにもSNS広告は含まれますが、中心は通常投稿、利用者とのやり取り、運用体制、リスク対応まで含む企業SNSの管理です。

一方、ウェブ広告マネージャーは、広告の基礎や複数媒体を横断した設計・運用管理が中心です。「どの広告を使うか、現在の広告を続ける理由は何か」を考える学びと、「企業として日常のSNSをどう運営するか」の学びには重なる部分と異なる部分があります。

ウェブ解析士は、ウェブを含むデータを事業の判断へつなぐ範囲を広く学ぶ資格です。SNSの日常運用を整えたいのか、広告の担当範囲を広げたいのか、複数施策の分析を学びたいのかで、最初に選ぶ学習は変わります。資格を三つそろえることが目的になるわけではありません。

初級・上級・チーフの違い:知識、運用設計、指導を分ける

三つの区分は、同じ試験の難易度だけを変えたものではありません。知識を確認する初級、成果物を作る上級、教える側を養成するチーフという違いがあります。[2~5]

区分 学ぶ中心 認定までの主な形 企業側の見方
初級SNSマネージャー SNS全体の基本、各媒体の特徴、戦略、リスク、広告、レポート 講座を受講し、オンライン試験に合格 共通の基礎を学んだことを確認する
上級SNSマネージャー 目的・予算・人員を踏まえた運用設計と改善 初級資格が必要。2日間の講座と事前・中間・修了課題 企画書や運用方針を作り、指摘を受けて直す経験を見る
チーフSNSマネージャー SNS運用を担う人材の育成、講座の指導 認定講師の養成。現行募集ごとの条件確認が必要 自社アカウントの担当者育成とは別に、教える役割が必要か考える
初級は知識、上級は運用設計の演習、チーフは指導という役割の違い
図をタップ・クリックすると拡大できます。

初級:企業SNSの全体像を押さえる

初級は、SNSをこれから担当する人だけでなく、特定のSNSだけを経験してきた人や、担当者の提案を受ける管理職にも接点があります。

2026年10月16日の公式告知では、テキスト第6版を案内し、10月24日以降の講座から新しい内容へ順次切り替えるとしています。第6版は全12章で、LINEを独立した章にし、生成AIを活用したSNSマーケティングの章を追加しました。講座は4時間で、炎上事例を調べる、投稿カテゴリを考える、SNS上の声を探すといったワークも扱います。[4]

この改訂で分かるのは、SNS運用が一つの投稿ツールの使い方では収まらないということです。生成AIで文章案を作れても、誰に向けた情報か、商品説明として正確か、会社の発信として適切かという判断は残ります。新しい機能の知識と、目的やリスクを考える基本を合わせて学ぶ構成です。

切り替えは「順次」です。受講する回の教材版は募集案内で確認することになります。旧版の11章構成や古いページ数を、第6版の条件として読み替えないようにしたいところです。

上級:自分の企画を他者が読める形にする

上級は初級SNSマネージャーの資格が受講条件です。目的、予算、人員、利用するSNSを踏まえた企画書を作り、投稿内容、スケジュール、運用ポリシー、改善レポートへつなげます。受講者同士で課題を確認する工程や、講師からのフィードバックもあります。[3]

仕事で「この投稿がよさそう」と考えることと、別の担当者にも方針が伝わる企画書を作ることは同じではありません。上級の演習は、判断の理由を文章へ置き、目的と施策、体制と作業量がつながっているかを他者に見てもらう機会として捉えられます。

そのため、初級試験の合格者について、上級での企画書作成や添削の経験まで積んだと判断することはできません。採用や配置で知りたい内容が運用設計なら、保有する級と、本人が作ったもの・担当した仕事を分けて確認する意味があります。

チーフ:管理職一般ではなく、認定講師を養成する

チーフは、SNSマネージャー講座を広め、運用を担う人材を育てる講師養成の位置づけです。公式ページは、SNSに関する知見だけでなく、他者と協働する力や、各媒体の特徴を整理して伝える力を挙げています。[5]

したがって、部門長だから最上位のチーフを取る、という順番にはなりません。講座を教える役割を担うのか、自社の担当者の提案を判断したいのかで、必要な学びが異なります。

チーフについては、確認できた公式公開ページだけでは現行募集の費用・日程・認定課題の詳細を確定できませんでした。古い紹介記事の金額を現在の料金として使わず、受講を検討する際に募集内容を確かめる必要があります。

試験・難易度・勉強時間は?初級の知識試験と上級の課題負担

初級は50問・60分。講座の受講も認定条件

公式FAQで案内されている初級試験は、4択50問、60分のオンライン試験です。講座終了後10日以内にパソコンで受験します。第6版の公式募集案内では、テキストを参照しながらの受験はできないと明記されています。また、試験だけを受けて合格しても、講座を欠席していれば資格として認定されません。[2・6・13]

第6版ではセーフティブラウザを使用し、受験用パソコンで試験画面以外のアプリケーションやウェブサイトを開けません。第6版への切り替えは2026年10月24日以降の講座から順次進むため、受講回の教材版と試験案内を確認します。旧版の案内にテキスト参照可とあっても、第6版の条件として読み替えないことが必要です。[4・13]

学歴や実務年数による受講制限は、今回確認した初級の公式公開案内では確認できませんでした。国内向けの案内・教材は日本語で提供されており、海外資格の英語試験を前提にした制度ではありません。

合格率の数字だけでは難易度を比較できない

初級FAQには、講座の演習と予習に取り組むことで高い合格率になっているとの説明があります。ただし、具体的な合格率や合格点は掲載されていません。「何%が受かる」「何点なら合格」という数値を、受験者の感想から補うことはできません。[6]

公式の勉強時間の目安は、講義とは別に3~5時間程度のテキスト熟読です。これは経験や知識による差を含む目安で、4時間の講座だけで学習が終わるという意味ではありません。知らないSNSが多い人は、用語や画面の確認にも時間を使います。

第6版の試験はテキスト参照不可のため、用語や考え方を理解し、参照せずに答えられるよう復習する必要があります。短時間で取得できるかという観点だけでなく、会社の投稿を自分がどこまで判断できるかという不足と照らすと、学習する範囲が見えやすくなります。

上級は講座の前後に課題が続く

上級は2日間の出席だけでは完結しません。事前課題、講座の間の課題、修了課題があります。公式案内では、Day1の約2週間後にDay2、さらに2週間以内に修了課題を提出する流れです。講座開講日までにXで1日5投稿以上行う課題も案内されています。具体的な期間は申込後の案内で確認します。これは投稿を続ける作業を体験するための課題で、すべての企業に同じ投稿頻度を勧める施策基準ではありません。[3]

企業が支援するなら、受講料だけでなく課題を作る時間も見積もることになります。繁忙期の通常業務をそのままにして、企画書、改善レポート、危機管理方針の作成まで追加すると、提出物を仕上げることだけが目的になりかねません。

2025年公開のNWS代表・石元和弘氏の体験記では、SNSの経験が浅い状態で受講し、中間課題に約10時間、修了課題に約20時間を費やしたとしています。本人は、仕事との両立と不慣れな作業の両方を難しさとして挙げています。これは一人の受講時の記録で、標準時間や全員の必要時間ではありませんが、講座外の時間を確保する理由は具体的に分かります。[9]

取得・維持費はいくら?講座代と年会費を分けて考える

初級は33,000円、上級は88,000円

確認できた公式の基本料金は次のとおりです。金額は税込です。[2・3]

区分 基本料金 主に含まれるもの
初級 33,000円 公式テキスト、講座、試験・認定
上級 88,000円 2日間の講座・認定、事前・中間課題、修了課題
チーフ 現行募集の料金を確認できず 講師養成。募集ごとの費用・内容の確認が必要

初級を未取得の人が初級と上級を受ける場合、上記基本料金の合計は121,000円です。これは二つの表示料金を足した金額で、年会費、再受験・再提出、本人が学ぶ時間の負担は別です。

初級の再試験は公式FAQで12,100円と案内されています。上級は課題の再提出や再受講に関する条件がありますが、講座ページとFAQで追加料金の書き方が異なるため、今回の記事では一律の再提出額にまとめません。受講する回の案内で、無料の修正対応と有料になる再提出・再受講を区別するのが確実です。[3・6]

更新は年会費が基本。上級以上にはプロフィール登録もある

WACAの会員制度では、通常の正会員年会費は6,600円です。2026年は制度移行に伴い、4~12月の9か月分を4,400円とする特別料金が案内されています。4,400円を通常の年間費用として計算し続けないよう、対象期間を分けて考えます。[7]

ただし、2026年中に初級SNSマネージャーなどの対象資格を初めて取得した正会員は、初年度の2026年会費が免除されます。2027年も維持する場合の年会費は6,600円です。既に資格を持つ会員が追加で別の資格を取得しても、初年度免除が改めて始まるわけではありません。新規取得者と既存会員で、2026年の負担を分けて見る必要があります。[12]

現行の共通制度では、初級SNSマネージャーには年会費以外の追加要件はなく、上級・チーフにはプロフィールの必須項目登録が示されています。SNS講座の会員更新ページには、チーフの追加要件を専用グループで案内する旨もあります。チーフを検討する場合は、その条件まで確認対象になります。[7・8]

ウェブ解析士も保有している場合、年会費を資格ごとに重複して払うわけではありません。ただし、ウェブ解析士側のフォローアップテストなどは別の資格の更新条件です。「WACAの資格だから全員同じ試験で更新」と考えないことが大切です。

人数は資格保有の規模であり、仕事の成果を示すものではない

WACAの2026年9月末の公表値では、SNSマネージャーは初級646人、上級317人、チーフ30人、3区分合計993人です。これは同時点の有資格者に関する集計で、過去の累計受講者数や、その月の合格者数ではありません。公表資料には、WACA資格全体の集計について複数資格保有者の重複があると注記されています。ここでは公表された資格別人数として扱い、実務能力や資格取得後の成果を示す数字とは区別します。[11]

社員が珍しい資格を持っているかより、会社が任せたい仕事と学習・演習の範囲が合うかを見るほうが、育成の判断につながります。

経験者が学ぶ意味は?投稿の経験を、説明できる運用方針へ広げる

自分の担当外を含めて、運用を組み立て直す

既に投稿できる人にとって、初級の一部は知っている内容になるでしょう。追加の意味があるのは、自分が触れてこなかったSNS、広告、危機管理、レポートなどの知識を確認できる場合です。特定の媒体の動画編集だけを高度にしたいなら、その技術に絞った講座や実務指導のほうが合うこともあります。

上級では、自分の考えを企画書へ落とし込み、他者に読んでもらう過程が加わります。自分の頭の中ではつながっていても、目的に対して投稿案が適切か、必要な人員を確保できるか、成果をどう説明するかは、書き出すと別々の問題として見えてきます。

NWSの石元氏は、講師から不足する観点や伝わりやすい記載方法の指摘を受け、受講者同士の確認でも自分とは異なる視点を知ったと述べています。SNSの初心者だった人が、上級の演習で企画を組み立て、伝える練習をした体験です。[9]

経験が豊富なら、新しい知識より更新の接点に意味がある場合も

一方、Workship MAGAZINEの取得者寄稿では、デジタルマーケティングの仕事をする筆者が、取得前後で自分の知識や経験は大きく変わらないと述べています。そのうえで、資格者コミュニティからトレンドや事例へアクセスしやすくなり、提案の情報源になった点を評価しています。2024年更新のPR表記を含む本人談です。[10]

既に仕事をしている人は、講座から新たに学ぶ内容、フィードバックを受ける機会、継続して情報を得る接点を分けて判断できるということです。

自社ですでに企画・評価・危機管理の指導を受けられ、必要な情報の更新もできている人にとっては、資格取得への追加投資が小さな意味にとどまる場合もあります。取得者の一律拡大より、社員の不足に合うかを先に考えたいところです。

仕事では何が変わる?企業SNSの判断を一つの場面で考える

以下は、学習内容と仕事の関係を示す当サイトの説明用仮例です。

複数店舗を持つ生活雑貨店が、Instagramで商品の使い方を発信しているとします。画像や動画は制作会社へ外注し、社内担当者が商品情報を確認して投稿しています。一定の反応はありますが、責任者から「動画を増やすべきか」「LINEにも力を入れるべきか」「外注範囲を広げるべきか」という相談が出ました。

目的が変わると、同じ投稿の評価も変わる

新しい人に店を知ってもらいたいのか、来店経験のある人にもう一度利用してもらいたいのかで、次に確かめることは変わります。

前者なら、どんな人にどの場面で知ってもらいたいか、投稿からプロフィールや店舗案内へ進んでいるかが手掛かりになります。後者なら、再来店につながる新商品・使い方・店頭企画などの情報を、既につながっている人へ届ける役割を考えられます。

ここで「反応が多かったから動画を増やす」とだけ結論づけると、認知のための投稿と再来店を支える案内が同じ評価になります。運用目的を先に置くことで、増やしたいのが反応なのか、店舗を知る人なのか、再び来店する人なのかを分けられます。

SNSでどこまで行動を測れるかも別の問題です。店頭来店まで個人単位で追えないなら、反応数を来店人数に読み替えず、店舗への問い合わせ、案内ページへの遷移、現場の聞き取りなど、取得できる情報を組み合わせて判断することになります。事業から施策の目標を整理する考え方は、事業目標からマーケティング目標を設定する方法でも扱っています。

外注する作業と、会社で決めることを分ける

撮影や編集を外注できても、店舗の在庫、説明できる商品情報、顧客への対応方針まで制作会社が持っているとは限りません。

この店舗なら、撮影・編集・投稿案づくりは外部へ依頼し、商品説明の確認、在庫の問い合わせ、返品等の個別対応は社内で担当する分け方が考えられます。逆に、毎回の確認が社内担当者に集中して投稿が滞るなら、何を事前に共有すればよいか、どの範囲なら外注先が判断できるかを整えるほうが先かもしれません。

外注費の安さや制作本数だけでは、この分担の適否は決まりません。何を承認待ちにし、誰がいつ返答するかまで含めて、続けられる運用かを考えます。上級の運用企画書が目的だけでなく予算・人員を扱うことは、こうした判断とつながります。

数字の報告を、次の判断へつなぐ

レポートでは、投稿数、表示、反応、フォロワー数を並べるだけでなく、「今回の目的に対して何が分かったか」を説明します。

例えば、商品の使い方を示す投稿は保存されている一方、店舗案内への移動が少ないなら、店で手に取れることが伝わっているかを確認できます。反対に、案内ページへ進む人は増えているのに現場の問い合わせが変わらないなら、投稿以外の案内や計測の不足も候補になります。

観測したことと仮説を分け、次に確かめる対象を示す考え方です。改善レポートを作る演習は、媒体の画面を見られることから、この説明へ進む練習として使えます。

企業SNSの目的から媒体の役割、内製外注、評価と対応方針をつなぐ生活雑貨店の説明例
図をタップ・クリックすると拡大できます。

危機管理も、担当者の気転だけにしない

通常の問い合わせでも、公開の場で答えられるものと、個別の購入状況を確認するものがあります。商品の不具合を指摘する投稿なら、事実確認を誰に依頼し、誰が説明方針を決めるかが問題になります。

SNS担当者が商品部門へすぐ確認できるのか、営業時間外にどこまで対応するのか、予約投稿を止める判断を誰がするのか。運用ポリシーや危機管理方針を作る仕事は、こうした社内の連携を事前に考えることです。

上級で方針書や炎上事例を扱う意味も、単に「炎上は怖い」と覚えることではありません。自社の業務へ持ち帰るときには、SNS担当者が判断できる範囲と責任者へ渡す範囲を、実際の組織に合わせて決め直します。

企業は誰の育成に使う?資格名より、担当させる仕事から選ぶ

新任担当・管理職・運用責任者で、必要な学びを変える

社員の状況 学習を使う方向 受講後に仕事で確認したい内容
個人SNSは使うが、企業の運用は初めて 初級で目的、媒体、リスクの基本を整理 個人投稿と企業発信の違いを説明できるか
投稿は続けているが、企画や体制を言葉にできていない 初級で不足を確認し、上級の企画書演習を検討 目的と投稿案、担当者と作業量がつながっているか
外注先を管理する担当者・責任者 内製外注と成果の見方を学ぶ 外注先へ何を依頼し、社内で何を判断するかを整理できるか
専門的な制作や特定媒体の運用をさらに深めたい 媒体別・制作技術別の学習も比較 今の不足をSNS全体の講座で補えるか
他の担当者や受講者を育てる役割を担う 指導者養成としてチーフを検討 自分の経験を他者が再現・判断できる形で伝えられるか

学習対象が同じSNSでも、新任者の基礎確認と、経験者の企画書へのフィードバックは別の支援です。会社としては、受講者の希望する級だけでなく、次に任せる仕事と現在の不足を合わせて見ると、取得後の活用を考えやすくなります。

学習の成果と、事業の成果を二段階で見る

受講直後に確かめられるのは、目的に沿った企画を説明できるか、運用の分担を提案できるか、指摘を受けて方針を修正できるかといった学習の成果です。売上や来店などの事業成果は、施策を実施してから別に観測します。

資格があるだけで運用成果を保証することはできません。初級は知識試験、上級は演習の課題を経た認定であり、自社の顧客理解、商品知識、制作経験、関係部署との調整を丸ごと評価する制度ではないためです。

採用面接や配置の判断なら、級に加えて「どんな目的で、誰と、どの範囲を担当したか」「うまくいかなかったとき何を見直したか」を本人の成果物とともに聞くと、資格から分かることを実務の確認へつなげられます。

受講後に持ち帰る仕事を、会社側でも用意する

会社が費用を出すなら、例えば「既存アカウントの目的と担当範囲を一度整理する」「外注先への依頼条件を見直す」など、学んだことを使う仕事を用意できます。本人の資格取得を待ってから大きな改善案を求めるより、受講前に一つの対象を共有しておくほうが、何に役立ったかを確かめやすくなります。

また、体制や予算の問題は担当者の学習だけでは変えられません。改善案が出ても、責任者が判断する時間や関係部署の協力がなければ実施は進みません。資格補助と担当業務・評価の接続は、資格補助制度の設計方法でも整理しています。

まとめ:投稿の上手さと、企業SNSを運営する力を分けて育てる

SNSマネージャーは、企業SNSの基礎から運用設計、危機管理までを学ぶWACAの民間資格です。初級は知識、上級は企画書や方針書を作る演習、チーフは人材を育てる講師という違いがあります。

企業で使う意味は、資格保有者を増やすことより、投稿の経験を目的・体制・評価・対応方針へつなげることにあります。既にできている人には学び直しの必要性が小さい場合もあり、技術を深める別の学習が合う場合もあります。

費用と級だけで選ばず、誰にどの仕事を任せたいか、何を学び、受講後に何を説明・提案してもらうかまで考えると、資格を育成に使う理由が具体的になります。

参考資料

制度・料金の確認日:2026年10月28日。体験記は記載した公開時点の本人の経験です。


本記事の文章・表・図解・グラフは、Skill Business Architecture Labが独自に編集・作成しています。引用・紹介する場合は、引用箇所が分かる形で、記事名・サイト名・記事URLをご記載ください。

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