Webアナリスト検定とは?難易度・費用・更新と、数字を改善提案につなぐ学び

日本Web協会のWebアナリスト検定の学習内容、費用・更新と、数字を改善提案につなぐ仕事での活用。 デジタルマーケティング経営

Webアナリスト検定は、一般社団法人日本Web協会(JWA)が実施する、Webサイトの分析と改善提案を学ぶ民間資格です。アクセス数の集計に加えて、サイトの目的、利用者の行動、調査方法、報告の組み立て方を扱います。

例えば、業務用設備メーカーのサイトには、購入前に製品を比較する人も、購入後に取扱説明書を探す人も訪れます。同じ「閲覧時間が短い」でも、比較に必要な情報が足りなかったのか、説明書がすぐ見つかったのかでは評価が変わります。

この違いを考え、次に何を調べ、誰へ改善を提案するかまで進める。そのための学習として、Webアナリスト検定を見ていきます。名前が似ている「ウェブ解析士」との違い、現在の試験・費用・更新条件、実務経験者が学ぶ意味も整理します。

Webアナリスト検定は、日本Web協会によるサイト分析の資格

認定主体の日本Web協会は国内の一般社団法人です。Webアナリスト検定は国家資格やGoogleの製品認定ではなく、同協会による認定資格です。現行の案内では、初級・上級といった級別ではなく、一つの検定として提供されています。

対象となる仕事は、自社サイトの運営、マーケティング、広報、制作会社や支援会社での分析・提案などです。「Webアナリスト」という専任職だけでなく、サイト担当者やディレクターが業務の一部として分析を担う場合にも関係します。

仕事の成果物は、アクセス数を並べたグラフだけではありません。「どの利用者の、どの行動に課題がありそうか」「確かめるために何の情報が要るか」「どの部署へ何を提案するか」を伝える報告です。数字をもとに、制作・営業・マーケティングの関係者が次の行動を選べる状態を目指します。

現行カリキュラムは、アクセス解析からリサーチ・UX・報告まで

公式カリキュラムは9領域で構成されています。サイト分析の考え方やコンバージョンの改善に加え、利用者を調べるリサーチ、UX、レポーティングが含まれます。UXは、目的を果たすまでの利用者の体験を指します。

学ぶ領域 仕事で考えること
Webアナリスト、マーケティング、Webサイトの目的 誰のどんな行動を支援するサイトか。事業との関係をどう捉えるか
Web解析の考え方、コンバージョン改善、エンゲージメント 訪問者をどう分けて見るか。申込みなどの完了や、その後の関係をどう捉えるか
リサーチとトラッキング、UX、分析とレポーティング 行動記録に加えて何を調査するか。分かったことを改善提案へどうつなぐか

コンバージョンは、申込みや購入など、サイトで目標とする行動の完了です。エンゲージメントでは、利用者との関わりや継続的な関係を扱います。

Googleのアクセス解析サービス「GA4」などを使う知識も含まれますが、現行範囲を「Googleアナリティクスの操作を覚える検定」だけで捉えると、リサーチやUX、説明の組み立てという部分を見落とします。

試験・難易度・費用は?取得後には年次更新もある

オンライン受験で、講座を受けずに試験だけ申し込める

公式の試験概要では、75問・80分のオンライン試験と案内されています。実務経験や先行資格の要件は、確認した公開案内には記載されていません。講座の受講は必須ではなく、独学して試験だけ申し込むこともできます。

項目 現行の公式案内
試験形式 オンライン。試験概要・FAQでは選択式
問題数・時間 75問・80分
合格基準 各カテゴリで40%以上、かつ全体で75%以上の正解
教材の参照 公式FAQではテキストやノートの参照が可能
学習方法 公式テキスト、解説動画、練習問題など
受験までの期限 公式FAQでは、受講権限が追加された日から1年間
合格後 デジタル認定証をダウンロード

申込み後に届くアカウント案内に沿って学習・受験します。講座付きの場合、解説動画や練習問題も利用期間内に学習する形です。

公式サイトの試験概要・FAQは選択式ですが、販売ページには「選択式・記述式」との記載があり、利用期限の起算日も「購入日」と表現されています。申し込む際は、受験形式と期限について申込案内を確認してください。

試験のみ16,500円、講座付き29,700円。公式テキストは別途購入

費用 税込金額・条件
試験のみ 16,500円。試験・認定費用
講座+試験 29,700円。解説動画・試験・認定費用
再試験 不合格後3か月以内は5,500円。3か月を過ぎると通常の受験料
公式テキスト 別途購入。書籍代は販売先で確認
資格の更新 年2,750円。日本Web協会の法人・個人会員は更新料免除

協会の出版案内から紹介されている公式テキストは、日本語の2025年9月刊行版です。料金を比較するときは、試験代に書籍代を加え、動画の説明も必要なら講座付きにする、と分けて考えると分かりやすくなります。

既に解析業務をしている人は、公式範囲と手元の知識を照らし合わせ、独学と受験のみを選ぶ方法があります。用語や分析の考え方から学ぶ人には、動画で説明を追える講座付きが選択肢になります。

難易度は合格率だけでなく、カテゴリごとの理解で考える

現行制度の合格率と標準学習時間は、今回確認した公式案内では確認できませんでした。受験記にある短期間の合格例は、その人の経験や当時の教材を含めて読む必要があります。

試験では全体の正答率だけでなく、各カテゴリでも基準を満たします。普段から広告やアクセス解析を扱っていても、リサーチやUXが未経験なら、そこを補う学習が要ります。得意分野だけで全範囲を済ませる設計ではありません。

また、テキストを参照できても、75問を80分で解く試験です。用語を見つけることに加え、どの考え方を使う場面なのかを理解しておくことが重要です。

公式講座では練習問題を利用できます。一般公開されている現行の過去問・サンプル問題の本文は確認できていません。

有効期限は合格日の翌年度末。その後は毎年更新する

現行案内では、資格の有効期限は合格日の翌年度末です。その後は毎年1月1日から3月31日までの更新が必要で、次の条件が示されています。

  • 30問のフォローアップ試験で90%以上正解する。受験回数の制限はありません。
  • 更新料2,750円を支払う。日本Web協会の法人・個人会員は更新料が免除されます。

会員向けの免除は更新料についてです。フォローアップ試験も含め、資格を維持する手続きを確認しておくと、会社で取得費を補助する際に初年度と翌年以降の負担を分けられます。

何を学ぶと、アクセス集計が改善提案に変わるのか

ここからは、業務用設備メーカーのサイトを説明用の例として考えます。購入を検討する新規客と、製品を使っている既存客の両方が利用するサイトです。現行カリキュラムの「サイトの目的」「コンバージョン改善」「リサーチ」「UX」「レポーティング」が、どこでつながるかを見ていきます。

同じページ閲覧でも、利用者の目的によって評価が変わる

担当者が毎月、閲覧数と平均的な滞在時間を報告しているとします。ある月に取扱説明書のページの閲覧が増え、閲覧時間が短くなりました。

新規客の製品比較ページなら、必要な仕様が分からず離れていることを疑うかもしれません。一方、既存客が説明書をすぐダウンロードできた結果なら、短い時間で用事を済ませられています。さらに、不具合の増加で説明書を探す人が増えた場合には、製品やサポート側の課題も考えられます。

このときの出発点は、「閲覧時間を延ばす施策を打つ」ではなく、誰の何の目的に対応した数字かを分けることです。説明書のダウンロード状況、ページへ入る検索語や経路、サポートへの問い合わせ内容などを組み合わせると、次に調べる対象が見えてきます。

Webサイトの目的や利用者の行動から分析を組み立てる学習は、こうした場面で役立ちます。指標の増減に一律の良し悪しを付けず、サイトが果たす仕事に戻って数字を読むためです。

短い閲覧時間という同じ観測を、新規客の製品比較と既存客の説明書探しに分け、必要な情報を探せたか、説明書を入手できたかを確認する図。
図をタップ・クリックすると拡大できます。

見積り依頼が少ない理由を、行動記録とリサーチで調べ分ける

今度は、新規客が製品ページを見ているのに、見積り依頼へ進む人が少ないとします。すぐにフォームを短くする案を出す前に、どこで進めなくなっているかを分けます。

製品ページからフォームへの移動が少ないなら、「自社の設置場所で使えるか」「どの機種を選べばよいか」といった判断材料が不足しているのかもしれません。フォームへ来た後の完了が少ないなら、入力項目や必要書類が負担になっている可能性があります。

行動記録は、どこに減少があるかを探す手がかりになります。理由を確かめるには、営業に届く質問を整理する、購入検討者へ話を聞く、製品選定から見積り依頼まで実際に操作してもらう、といった調査を組み合わせます。

例えば操作を見て、利用者が設置条件を探して何度もページを往復していたなら、改善先はフォームだけではありません。製品の選び方や適用条件を伝える情報にも及びます。逆に、必要情報は理解できているのに入力途中でつまずくなら、入力体験を詳しく調べる理由ができます。

公式範囲にリサーチやUXが入る意味は、ここにあります。アクセス解析の数字を詳しくすることに加え、利用者が何を理解できず、どこで迷っているかを調べる方法も学ぶ構成です。

報告に「誰と、何を確かめるか」を加える

分析の結果を、担当者が動ける提案へつなぐことも仕事です。先ほどの例なら、同じ「見積り依頼を増やす」という目的でも、課題によって相談先が変わります。

調べたいこと 協力してほしい相手 次につながる提案
設置条件や機種選定で迷っていないか 営業・製品担当 頻出質問を整理し、選定情報を補う
入力項目の意味や準備物でつまずいていないか サイト制作・開発担当 操作を観察し、項目説明や入力手順を見直す
依頼は増えたが、対応できる案件につながっているか 営業・マーケティング担当 依頼内容と商談へのつながりを確認する

報告書には、観測した事実、考えられる理由、次に確かめたいことを分けて書きます。「設置条件の情報が足りないと思う」だけでなく、どの行動や質問からそう考えたかを添えると、相手も調査や改善に参加しやすくなります。

改善後に見る数字も、提案と対応させます。入力説明を直したならフォームの完了状況を見ます。対象製品の条件を明確にしたなら、依頼数だけでなく、営業が対応できる依頼の割合も確認します。条件を理解した人が問い合わせるようになれば、件数だけでは捉えられない変化があるためです。

このように、Webアナリストの報告は「先月より何%増えたか」から、「どの判断を進める資料なのか」へ広がります。

既に実務をしている人は、何を学び足しているのか

広告の知識がある人にも、接点の評価という学びがある

2024年3月に受験記を公開した「たけぽん」さんは、マーケティング部門を経験した後、データアナリストへ転職した人です。社内研修でGA4を学び、Web解析の知識を補強するために受験しています。

広告やマーケティングの基礎は既に知っていた一方、学習で初めて触れた内容として、アトリビューションにおける最初の接点と最後の接点の違いを挙げています。アトリビューションは、購入や申込みに至る複数の接点へ、貢献をどう割り当てて評価するかという考え方です。

先ほどのメーカーの例なら、最初は広告で製品を知り、後日に会社名で検索して見積りを依頼することが考えられます。最後の接点を見る数字と、最初に知った接点を見る数字では、答えようとしている問いが違います。「検索経由の依頼が多い」という報告を読む際にも、どの接点に貢献を割り当てた数字なのかを確認する視点が加わります。

この受験記から分かる追加価値は、広告を知らない人が基礎を覚えたことだけではありません。既に知っている広告と、分析上の評価の考え方をつなぐ知識を得た点です。

GAの研修を受けた人が、別の切り口で復習する使い方もある

同じく2024年3月にQiitaへ受験記を公開したデータアナリストは、当時のGAIQを取得し、社内でGoogleアナリティクスの研修も受けていました。そのうえで、研修内容の復習と、マーケティングの基礎を身につける目的でWebアナリスト検定を受験しています。

解析ツールの知識があっても、それをサイトの目的やマーケティングの流れへ結びつける学びを求める場合があります。一方で、日常的に利用者調査から改善提案まで担当している人は、既知の内容が多いことも考えられます。公式カリキュラムを自分の担当範囲と照らし合わせると、学び足したい領域を判断しやすくなります。

この2件は2024年当時の個人の学習記録です。取得後の売上改善を検証した資料ではなく、経験者がどの知識を補おうとしたかを知る材料として紹介しています。

ウェブ解析士・Google Analytics認定資格との違いと、企業での選び方

名前の近さではなく、補いたい仕事から選ぶ

Webアナリスト検定、ウェブ解析士、Google Analytics認定資格は、主催者も体系も異なります。

資格 中心となる学習・体系 選択を考える場面
Webアナリスト検定 日本Web協会。サイト分析を中心に、リサーチ・UX・報告まで扱う一つの検定 アクセスの報告から、調査と改善提案へ進めるための基礎を学びたい
ウェブ解析士 ウェブ解析士協会。事業成果とデータ活用を扱い、上級・マスターへ続く体系がある 広いマーケティング知識を確認し、演習や指導を含む先の学習も検討したい
Google Analytics認定資格 Google。GA4の設定、収集、レポート、測定、他サービスとの連携を学ぶ製品認定 GA4で何を取得・分析でき、どの設定や機能を使うかの理解を深めたい

例えば、担当者が「必要なデータをGA4で取得できるか分からない」と困っているなら、製品の機能や設定を学ぶ意味が大きくなります。「数字は出せるが、利用者の何を調べれば改善につながるか迷う」なら、リサーチやUXまで含む範囲を確認したいところです。

Google Analytics認定資格の学習内容は、GA4の学習・試験・実務活用を整理した記事で詳しく説明しています。級ごとの違いや上級での演習を知りたい場合は、ウェブ解析士の資格体系と育成での使い方も参考になります。

育成では、資格の取得と「報告をどう変えるか」を結びつける

企業で活用しやすいのは、数字を集める役割から、課題の仮説や調査を提案する役割へ進む担当者です。制作担当との会話が画面の見た目に偏りがちなWeb担当者や、分析担当の報告を受け取る側のマネージャーも、学習範囲を知る意味があります。

学習後の課題としては、実際の月次報告から一つの論点を選び、「観測したこと」「考えられる理由」「追加で調べること」「相談する相手」を説明してもらう方法が考えられます。先ほどのメーカーなら、見積り依頼の減少を、製品情報と入力体験のどちらから調べるかを説明する報告です。

資格の合格は学習範囲の理解を確認する節目になります。案件を任せる判断では、この報告の筋道や、関係部署と調査を進めた経験も合わせて見ます。実務で求める成果物を決めておくと、取得の有無だけでは見えない成長を確認できます。

知識を補うことが目的なら、まず公式テキストで必要な領域を学ぶ選択もできます。会社として共通の到達点を設けたい、本人が認定を仕事上の説明に使いたい場合には受験まで進む。既に調査と改善提案を継続している人なら、UXリサーチや統計など、次に深めたい専門分野へ時間を使う選び方もあります。

まとめ:数字を説明する先に、調査と改善提案を置く資格

Webアナリスト検定は、日本Web協会が提供する、Webサイトの分析と改善提案を学ぶ資格です。現在はオンライン試験で、講座付きと試験のみを選べます。取得後の年次更新も含めて、学習・受験の計画を考えられます。

仕事との接点は、アクセス数の増減を説明するところから一歩進み、利用者の目的に沿って数字を読み、調査方法と提案先を考えることにあります。新規客と既存客では同じ閲覧時間の意味が変わり、情報不足と入力の難しさでは改善を相談する相手も変わります。

「この数字は何を意味するか」に加えて、「次に何を確かめ、誰と改善を進めるか」を報告へ入れたい。そうした課題を持つ担当者にとって、現行カリキュラムを確認する価値のある検定です。

参考資料

  1. 日本Web協会・Webアナリスト検定:現行カリキュラム、試験、料金、教材参照、取得・更新の条件、FAQ。
  2. 日本Web協会の講座・資格試験販売ページ:講座付き・試験のみの選択と販売価格。試験形式・利用期限の表記は公式試験概要と一部相違。
  3. Webアナリスト検定の再試験:再試験の販売案内。
  4. 日本Web協会の出版案内:公式テキストと販売先。
  5. JWA公認 Webアナリスト検定 公式テキスト・書籍情報:2025年9月刊行版、日本語、書誌情報。
  6. たけぽんさんの合格体験談:2024年3月5日。マーケティング経験者が、GA4研修後に補った分析知識。
  7. データアナリストによるWebアナリスト検定の受験記:2024年3月29日。GA研修の復習とマーケティング基礎を学ぶ目的。
  8. Googleアナリティクス アカデミー:GA4の学習範囲、4コースと1認定の体系。
  9. ウェブ解析士協会・ウェブ解析士:認定主体、学習範囲、上位資格を含む体系。

本記事の文章・表・図解・グラフは、Skill Business Architecture Labが独自に編集・作成しています。引用・紹介する場合は、引用箇所が分かる形で、記事名・サイト名・記事URLをご記載ください。

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