セキスペの2027年度シラバス変更点は?現行版と改訂案を比較して解説

セキスペの2027年度シラバス改訂案。現行版との違いをAI対策、クラウド・委託先管理、学習の見直しから解説。 セキュリティ資格

セキスペのシラバスが変わると聞くと、「新しく何を勉強すればよいのか」「今使っている参考書では足りなくなるのか」が気になるのではないでしょうか。

IPAは、2027年度開始予定の新試験制度に向けて、情報処理安全確保支援士試験のシラバス案を公表しています。シラバスは、試験で求められる知識・技能を示す資料です。

今回注目したいのは、AIに関する用語があることだけではありません。従来から学習対象だった内容について、どのような攻撃を想定し、何を守り、どう管理するのかが具体化されています。

本記事では、現行版とその追補版を改訂案と比較し、主な変更点と学習への影響を整理します。専門用語は社内AIや委託先管理の例で説明するため、受験者だけでなく、資格取得を支援する経営者・人事担当者も概要を把握できます。

  1. セキスペのシラバスはいつ変わる?今回の改訂案の位置づけ
  2. 現行版との比較で分かる、セキスペの主な変更点
    1. 新たに明記された内容と、以前からある内容の具体化を分けて確認
    2. AI対策だけでなく、クラウド・委託先管理なども確認する
  3. AI関連は何が具体化された?攻撃と対策を身近な例で理解する
    1. AIを悪用する攻撃と、AIそのものを狙う攻撃
    2. 資料に書かれた文章が、AIへの不正な指示になる
    3. 社内AIには、質問した社員が見てよい資料だけを渡す
    4. AIに任せる操作の範囲を決める
  4. クラウドや委託先管理では、どんな知識・技能が求められる?
    1. クラウド事業者と自社が、それぞれ守る範囲を理解する
    2. 委託先に求める対策を決め、対応状況を確認する
    3. AI・クラウドの安全な利用を、社内規程や教育につなげる
  5. シラバス変更で、受験勉強や社内の育成はどう見直す?
    1. 受験する年度に対応したシラバスで学習する
    2. 今の教材で学べる内容と、追加で確認する内容を分ける
    3. 新しい用語は、攻撃の仕組みと対策をセットで理解する
    4. 人材育成では、自社で担当する仕事と変更点を結びつける
  6. セキスペのシラバス変更に関するよくある質問
    1. 生成AIは、今回初めて試験範囲に入るのですか?
    2. シラバスが変わると、試験は難しくなりますか?
    3. シラバスに載った用語は、必ず出題されますか?
  7. まとめ|変更点とその意味を押さえ、必要な学習を見極める
  8. 参考資料

セキスペのシラバスはいつ変わる?今回の改訂案の位置づけ

今回取り上げるのは、2026年8月31日に掲載された「情報処理安全確保支援士試験 シラバス案 Ver.0.1」です。2027年度開始予定の新制度に向けた案であり、現在受験する試験にそのまま適用される確定版ではありません。

比較対象は、現行の「シラバス Ver.2.1」と、知識の詳細を示す「シラバス追補版 Ver.4.0」です。現行の本体だけを見ると、追補版に載っている用語まで新規追加に見えてしまいます。

また、新案では専門知識などを扱う科目A-2と技能を扱う科目Bに加え、科目A-1の共通知識が別資料にまとめられています。本記事は、セキスペ固有の資料で確認できる主要な変更点を中心に解説します。受験準備では、共通知識も併せて確認してください。

現行版との比較で分かる、セキスペの主な変更点

新たに明記された内容と、以前からある内容の具体化を分けて確認

生成AIも、プロンプトインジェクションも、今回初めて登場したわけではありません。 現行の追補版には、AIへの攻撃やAIを守る技術がすでに載っています。

主要な違いを、学習内容を見直すための比較表にまとめました。

比較資料:現行版 Ver.2.1、追補版 Ver.4.0、改訂案 Ver.0.1。

以下のページ番号は、表紙を1ページ目とするPDFビューアー上の番号です。 紙面下部の番号とは異なります。

テーマ 現行版・追補版 改訂案で確認できる記載 変更のポイント
AI関連の攻撃 ディープフェイク、プロンプトインジェクションなどを記載(追補版・PDF 7ページ) AIを悪用する攻撃とAIを狙う攻撃を分け、直接・間接の区別などを明示(PDF 5ページ) 既存の攻撃を分類・具体化
AIを守る対策 AIそのものを守る技術を記載(追補版・PDF 12ページ) エージェントの権限分離、外部参照データの検証・分離、RAGのアクセス制御(PDF 13ページ) 対策の具体的な着眼点を明記
クラウド クラウドのセキュリティや関連製品を記載(追補版・PDF 12〜13ページ) 責任分担、公開・権限設定、コンテナの保護など(PDF 14ページ) 設定・実装上の確認事項を具体化
暗号 耐量子暗号(PQC)を記載(追補版・PDF 7ページ) ML-KEM、ML-DSA、暗号アジリティを記載(PDF 12ページ) 技術名と暗号を変更する考え方を具体化
委託先管理 外部供給者の契約・実績の管理を記載(追補版・PDF 49〜50ページ) 契約上の要求事項と対応状況の評価を技能項目に明示(PDF 23ページ) 組織として担う仕事を明確化
社内の規程 生成AIなどの技術動向を踏まえた規程策定(現行版・PDF 3ページ) AI・クラウドの安全な利用規程を明示(PDF 22ページ) 利用場面との関係を明確化

※現行版・追補版と改訂案を基に当サイトが整理した主要項目の比較です。全用語の追加・削除一覧ではありません。

例えば、耐量子暗号について「新しく範囲に加わったから、初めて勉強する」と捉えると、現行版との関係を見誤ります。すでに学んでいる分野に、より具体的な確認項目が示されたと捉えると、教材のどこを補えばよいか整理しやすくなります。

AI対策だけでなく、クラウド・委託先管理なども確認する

AIの話題は目を引きますが、変更点をAIだけで理解すると、学習計画も偏ります。

クラウドを利用する会社なら、サービス事業者に任せる部分と、自社で設定・管理する部分を分ける必要があります。外部へ業務を委託する会社なら、相手にどの対策を求め、実施されていることをどう確認するかが問題になります。

シラバスを読むときは、用語が増えたかだけでなく、「どんな問題に対応する知識か」「誰がどの仕事を担う技能か」まで確認すると、変更の意味が見えてきます。

以下では、比較表の中でもイメージしにくい内容を具体例で解説します。例は、記載された知識・技能を理解するために当サイトが作成したものです。

AI関連は何が具体化された?攻撃と対策を身近な例で理解する

AIを悪用する攻撃と、AIそのものを狙う攻撃

「AIに関する攻撃」には、異なる二つの方向があります。

一つは、攻撃者がAIを道具として使う場合です。例えば、実在する人物に似た音声を作り、本人を装って連絡するケースです。守る対象は、その連絡を受ける人や会社の業務です。

もう一つは、会社が使うAIの動作を攻撃者が変えようとする場合です。資料を読ませる仕組みを悪用して回答を誘導したり、本来扱わせるべきでない情報を引き出そうとしたりします。

両者を分けると、前者では本人確認や業務手順、後者ではAIが読む情報や実行できる操作が対策を考える入口になると分かります。

資料に書かれた文章が、AIへの不正な指示になる

プロンプトインジェクションは、入力などに紛れ込ませた指示によって、AIを意図しない動作へ誘導する攻撃です。利用者が直接入力する場合だけでなく、AIが参照する資料やWebページを経由する場合もあります。

例えば、人事担当者が応募書類から職歴やスキルを整理する場面を考えてみましょう。

担当者の依頼と応募書類がAIに渡り、書類に紛れた不正な指示によって回答が誘導される、間接的なプロンプトインジェクションの例

図1:経験やスキルを整理する依頼に対し、応募書類内の「最も高く評価せよ」という指示が回答を誘導する例。

この例で問題なのは、書類の閲覧権限ではありません。読む対象である文章を、AIが従うべき命令として扱ってしまうことです。

対策では、業務の指示と外部資料を区別し、資料の内容をそのまま命令として扱わせない設計が必要です。加えて、回答の検証や、AIに与える操作権限の制限を組み合わせます。「不正な指示に従わないで」と一文を加えるだけで解決する問題ではありません。

学習するときも、名称だけを覚えるより、「指示がどこから入るか」「何を変えられてしまうか」を説明できるようにすると理解が進みます。

社内AIには、質問した社員が見てよい資料だけを渡す

RAGは、社内文書などを検索し、その内容を参照してAIが回答する仕組みです。社内規程を調べたり、過去の問い合わせを探したりする用途をイメージすると分かりやすいでしょう。

ここで重要なのが、質問した社員の権限です。

例えば、一般社員が直接は開けない給与資料を、広い権限を持つAIが読み、質問への回答に含めてしまったらどうでしょうか。元の資料に閲覧制限があっても、AI経由で内容が伝わることになります。

基本となる流れは、次のとおりです。

社員の質問に対し、システムが閲覧権限を確認して許可された資料だけをAIに渡し、回答生成後にも出力を確認する流れ。権限のない人事・給与資料はAIへ渡さない

図2:質問者の権限による制限を、回答生成用のAIへ資料を渡す前に適用する。回答後の出力確認も組み合わせる。

アクセス権管理そのものは、以前からある考え方です。AIを使う場合にも、その管理を検索・参照の過程へ引き継ぐ必要があります。

では、全資料を読ませてから、回答時に機密情報を隠せばよいのでしょうか。回答だけで守ろうとすると、機密情報が別の表現に変わった場合に判断が難しくなります。年収の数字を消しても、「この部署で最も高給です」と答えれば、元の情報の一部は伝わってしまいます。

回答時の確認を加えつつ、まずAIへ渡す資料を権限で制限する。 この順序が重要です。権限の判定はAIへのお願いではなく、検索システムなどで適用します。

なお、元の給与資料が誤って全社員へ公開されていれば、AIが権限を守っていても参照対象になり得ます。AI側の設計と、元データの権限設定の両方を確認する必要があります。

AIに任せる操作の範囲を決める

資料を読んで答えるAIと、メール送信やデータ更新まで行うAIでは、問題が起きたときの影響が違います。

例えば、顧客への返信案を作る仕事をAIに任せる場合、下書きを作るための権限と、実際に送信する権限は分けて考えられます。誤った下書きなら修正できますが、そのまま外部へ送れば、相手への訂正や説明が必要になります。

AIエージェントの権限を考える際は、「読む」「作成する」「送信する」「変更する」を一括で許可せず、担当させる仕事に必要な範囲へ絞ります。影響の大きい操作には、人による承認を挟む方法もあります。

受験者は、便利な機能の名前に加えて、どの権限があると、どんな被害につながるかを考えて学ぶことが大切です。

クラウドや委託先管理では、どんな知識・技能が求められる?

クラウド事業者と自社が、それぞれ守る範囲を理解する

クラウドサービスを契約しても、自社の情報管理をすべてサービス事業者へ任せられるわけではありません。

例えば、ファイル共有サービス自体が適切に保護されていても、利用者が顧客名簿を「リンクを知っている全員が閲覧可能」に設定すれば、意図しない相手が読める状態になります。

責任共有モデルは、こうした管理の分担を考えるためのものです。実際の分担はサービスによって違うため、自社が利用するサービスについて確認します。

学習では「クラウドは安全か」という大きな問いだけでなく、アカウント、共有範囲、権限など、どこを誰が設定・管理するのかを追うと理解しやすくなります。

委託先に求める対策を決め、対応状況を確認する

「委託先のセキュリティを確認する」と言われても、何を聞けばよいか迷うかもしれません。出発点は、相手に任せる業務と、扱わせる情報です。

例えば、顧客への連絡を外部へ委託し、顧客管理システムのアカウントを発行する場合、次のような確認が考えられます。

業務で起こり得る問題 契約・運用で確認する内容の例
担当者以外も顧客情報を見てしまう アカウントを使える人と、共有の扱い
担当者が交代しても権限が残る 交代・退職時の連絡とアカウント停止の手順
情報漏えいの疑いがあっても連絡が来ない 緊急連絡先、報告対象、役割分担
契約後も顧客情報が残る データの返却・削除と、その確認方法

要求事項を決めた後は、その内容が実際に運用されているかを確認します。契約書を作る担当者と、システムの権限を管理する担当者が違う会社では、両者をつなぐことも必要です。

具体的な確認項目は、委託先のセキュリティ管理で解説しています。

AI・クラウドの安全な利用を、社内規程や教育につなげる

システム側の制限と、社員が守るルールは組み合わせて考えます。

例えば、承認済みの社内AIでは顧客情報を適切に扱えるとしても、社員が別の個人向けサービスへ同じ情報を入力すれば、管理の条件が変わります。「AIを使ってよい」という説明だけでは、どのサービスで何をしてよいか判断できません。

利用できるサービス、扱える情報、判断に迷ったときの相談先を整理すれば、社員は業務を進めやすくなります。ルールに反する操作をシステムで制限することも含め、実際に守れる運用へ落とし込みます。

規程の作成と運用については、中小企業向けセキュリティポリシーの作り方も参考にしてください。

シラバス変更で、受験勉強や社内の育成はどう見直す?

受験する年度に対応したシラバスで学習する

まず確認するのは、自分が受験する試験に適用される資料です。現行試験を受ける人が、新しい案だけを見て学習範囲を決めると、必要な内容を取りこぼすおそれがあります。

2027年度以降を予定している人は、改訂案を準備に使いながら、確定したシラバスや試験案内が公表された段階で見直します。共通知識の科目A-1も含め、受験に必要な資料をそろえて確認しましょう。

今の教材で学べる内容と、追加で確認する内容を分ける

新しい案が出たからといって、今までの学習をやり直す必要はありません。認証、アクセス制御、ネットワーク、暗号、リスク評価などの基礎は、今回取り上げた具体例を理解する土台にもなります。

教材を確認するときは、変更点ごとに「説明できる」「名前は知っている」「まだ学んでいない」の三つに分けると、補う内容が見つかります。

例えば、プロンプトインジェクションの説明がある教材でも、外部資料から入り込むケースや、権限の制限まで理解できるかは別です。目次に用語があるかだけで判断せず、攻撃の流れと対策まで説明できるかを確認します。

新しい用語は、攻撃の仕組みと対策をセットで理解する

用語を見つけるたびに暗記項目を増やすと、学習範囲が際限なく広がるように感じます。

一つの事例に対して、次の順番で考えてみてください。

  1. 守る情報や業務は何か。
  2. 誰が、どの経路から問題を起こせるか。
  3. どこで制限・検証・承認すればよいか。
  4. その対策だけでは何が残るか。

社内AIの例なら、「資料を読める範囲」と「資料内の指示に従ってよいか」は別の問題です。どちらもAI対策ですが、必要な対処は同じではありません。こうして問題を分けると、用語と対策が結びつきます。

人材育成では、自社で担当する仕事と変更点を結びつける

企業が資格取得を支援する場合、試験合格に向けた学習範囲を確保したうえで、実務演習を担当業務に合わせると効果的です。

社内AIの導入に関わる人なら、質問者の権限が検索先にも反映されるかを確認する。委託先管理を担う人なら、実際の業務を基に契約上の要求事項を整理する。社員教育を担当する人なら、利用ルールを具体的な判断例に置き換える、といった方法です。

合格後の役割まで考えると、学習した内容を会社で使う機会も作れます。取得・登録の判断は、情報処理安全確保支援士を取得する意味と企業での活用方法で整理しています。

セキスペのシラバス変更に関するよくある質問

生成AIは、今回初めて試験範囲に入るのですか?

いいえ。現行版にも生成AIへの言及があり、追補版にはAIを悪用した攻撃やプロンプトインジェクションなどが載っています。今回の比較では、攻撃の整理や具体的な対策の記載に注目すると違いが分かります。

シラバスが変わると、試験は難しくなりますか?

記載の追加や具体化だけでは、試験全体の難易度は判断できません。学ぶ項目の確認と、問題の難しさは分けて考えましょう。新制度の公式な試験案内やサンプル問題などが公表された際に、問われ方も確認する必要があります。

シラバスに載った用語は、必ず出題されますか?

掲載された用語が、毎回すべて出題されるという意味ではありません。また、用語例に名前がないことだけを理由に、学習不要とも判断できません。用語の一覧に加えて、どのような知識・技能を求める項目なのかを確認してください。

まとめ|変更点とその意味を押さえ、必要な学習を見極める

セキスペの2027年度シラバス案を読む際は、「新しい言葉がいくつ増えたか」だけでなく、現行版から何が具体化されたかを確認することが重要です。

社内AIのアクセス制御なら、質問者が直接開けない資料をAI経由でも読めないようにする。外部資料に紛れた指示なら、読む対象の文章を実行する命令として扱わせない。このように仕事の場面へ置き換えると、学習する内容の意味が分かります。

変更点を把握し、具体例で理解し、自分に不足している知識を補う。 受験者は学習計画へ、企業の育成担当者は任せたい仕事へ結びつけて、今回の改訂案を活用していきましょう。

参考資料

確認日:2026年10月5日。IPAの新旧資料を比較し、具体例の技術的な説明にはOWASPとMicrosoftの資料も参照しています。


本記事の文章・表・図解・グラフは、Skill Business Architecture Labが独自に編集・作成しています。引用・紹介する場合は、引用箇所が分かる形で、記事名・サイト名・記事URLをご記載ください。

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