Fortinet(フォーティネット)の広告や提案資料を見て、「何をしている会社なのだろう」「自社のセキュリティを任せられる会社なのだろう」と感じた方もいるのではないでしょうか。
ITの製品・サービスを検討するとき、機能より先に知りたいのは、提供元がどのような会社かということです。導入後も使い続けるものだからこそ、事業規模や実績、日本で相談できる体制は気になります。
Fortinetは、会社の通信や業務環境をサイバー攻撃から守る製品・サービスを提供する米国企業です。代表製品はFortiGateというファイアウォールですが、事業はそれだけではありません。
この記事では、会社としての信頼性を判断する材料から、製品の役割、Ciscoやトレンドマイクロなどとの違い、自社で検討する場面までを順に整理します。
Fortinetとは?米国発のサイバーセキュリティ企業
Fortinetは2000年に設立され、米国カリフォルニア州サニーベールに本社を置くサイバーセキュリティ企業です。企業や公共機関などに向けて、ネットワーク、PC、クラウド環境などを保護する製品・サービスを展開しています。
特に知られているのが、会社の通信を検査し、不正な通信を制限するFortiGateです。ファイアウォールは、通信に対して「通してよいか」を判断する仕組みです。FortiGateでは、それに加えて危険なサイトへの接続や攻撃の兆候を調べる機能などを組み合わせられます。
経営や事業の視点では、Fortinetは「社員が業務システムを安全に利用できる環境を作り、その管理を支える会社」と捉えると理解しやすいでしょう。
Fortinetの会社規模と導入実績
売上・従業員数・上場状況から見る事業規模
FortinetはNASDAQに上場しており、証券コードはFTNTです。2025年の売上高は約68億米ドルで、2024年の約59.6億米ドルから14%増加しました。
| 確認項目 | 公表されている内容 |
|---|---|
| 設立 | 2000年 |
| 本社 | 米国カリフォルニア州サニーベール |
| 上場市場・証券コード | NASDAQ・FTNT |
| 2025年売上高 | 約68億米ドル、前年比14%増 |
| 世界の従業員数 | 15,109人(2025年12月31日時点) |
広告で初めて名前を知った方でも、25年以上の事業歴と世界約1万5,000人の組織という規模を見ると、会社の印象が変わるのではないでしょうか。
顧客数と導入先から分かること
Fortinetは、同社の製品・サービスを利用する顧客が世界で100万を超えると公表しています。
導入実績を見る際は、総数に加えて、どのような企業が何のために使っているかを確認すると、自社との関係が見えてきます。たとえば、社内の通信を安定させたい企業と、在宅勤務の安全性を高めたい企業では、同じFortinetでも選ぶ製品が変わります。
Fortinetの評判は?世界市場での評価と利用者の声
調査会社の評価から見る市場での位置づけ
Fortinetは、2025年のGartner Magic Quadrantのハイブリッドメッシュファイアウォール部門で「リーダー」に選出されています。社内やクラウドなど、複数の環境にまたがるファイアウォールの市場評価です。
一般向けの知名度からは見えにくいものの、企業向けファイアウォールの市場では、主要な選択肢として評価されている会社です。
利用者が評価する点と、導入前に確かめたい点
利用者の声として、Gartner Peer InsightsのFortiGateレビューには、管理画面の分かりやすさや通信状況の把握、負荷の高い状況での処理性能を評価する投稿が掲載されています。
これを事業側の言葉に置き換えると、「担当者が問題の原因を調べやすい」「セキュリティ対策を動かしながら業務通信を処理できる」という評価です。管理のしやすさは、IT担当者の作業時間や、問題が起きたときの対応にも関わります。
たとえば、拠点ごとの設定変更に時間がかかっている会社なら、管理のしやすさは魅力になります。Web会議や大容量ファイルのやり取りが多い会社なら、通信を検査しながら業務に必要な速度を保てるかが気になるでしょう。評判を自社の課題に重ねると、検討したい点が具体的になります。
Fortinetは日本でも使われている?国内の導入・支援体制
日本法人と国内の導入事例
日本法人はフォーティネットジャパン合同会社です。2003年2月に設立され、東京・六本木に本社を置いています。従業員数は620人と公表されています(2026年1月現在)。
国内での利用を具体的に理解するため、公開されている二つの事例を見てみましょう。
セプテーニ・ホールディングス:社内ネットワークの高速化と運用負荷の軽減
日立ソリューションズが公開する事例では、デジタル広告事業などを展開するセプテーニ・ホールディングスがFortiGateを採用しています。ネットワークの高速化に対応し、複数のセキュリティ機能をまとめて利用できる点が導入のポイントとして紹介されています。導入後は安定稼働や一元管理による運用負荷の軽減が報告されています。
広告会社にとっても、社員の仕事を支える通信の性能と、その管理が導入の理由になっています。
北海道新聞社:テレワーク環境の保護
北海道新聞社は、本社移転や従来のVPNサービス終了を機にFortiSASEを導入しました。FortiSASEは、社外で働く社員のアクセスもクラウド経由で保護するサービスです。事例では、既存のFortiGateとの連携や、社員の操作負担を抑えて安全に業務システムへ接続できる点が評価されています。
社内ネットワークを高速化したい広告会社と、場所を選ばず働ける環境を整えたい新聞社。同じFortinetでも、事業や働き方に応じて製品の使われ方が変わります。
国内での販売・導入・保守は誰が支えるのか
Fortinet製品の導入では、国内の販売・構築パートナーに相談する方法があります。たとえば日立ソリューションズは、Fortinetとのパートナーシップや製品の提供体制を公開しています。
ここで知っておきたいのは、製品を開発する会社と、自社向けに設計・設定・運用を支援する会社は別の場合があるということです。
国内のIT企業に相談しても、提案される製品がFortinetということがあります。「日本企業とFortinetのどちらを選ぶか」という二者択一にはならず、日本企業の支援を受けながらFortinet製品を使う形もあるのです。
相談時は、障害時の連絡先、設定変更を依頼できる範囲、保守の対応時間を確認しましょう。自社に専門担当者が少ない場合は、製品の機能と同じくらい、導入後にどこまで支援してもらえるかが重要です。
Fortinetの主な製品・サービス|FortiGateなどを紹介
FortiGateは、会社の通信を検査・制御する代表製品
Fortinetは会社名、FortiGateはその会社が提供する製品名です。
FortiGateはファイアウォールを中心に、不正な通信の検知・遮断やWebアクセスの制御などを組み合わせられる製品です。複数のセキュリティ機能をまとめた仕組みはUTM(統合脅威管理)とも呼ばれます。
たとえば、社員が危険と判定されたサイトへ接続しようとしたときに、その通信を止める用途があります。会社ごとにすべての危険なサイトを調査する代わりに、専門会社が収集・更新する脅威情報を活用する考え方です。利用する機能や情報更新サービスは、契約と設定によって変わります。
Fortinetが製品の特徴として挙げるものに、通信やセキュリティの処理を担う専用チップ「ASIC」があります。経営側が理解しておきたいのは部品の詳しい仕組みよりも、「安全性を確認する処理を増やしても、業務に必要な通信速度を確保できるか」という点です。専用チップは、その両立を図る設計上の特徴です。
FortiGateは、その機器を通る通信を検査します。PC内部の異常も検知したい場合は、端末向けの製品と組み合わせて保護範囲を広げます。
PC・Wi-Fi・クラウド経由のアクセスや管理にも製品を展開
Fortinetの製品は、ファイアウォール以外にも広がっています。最初は製品名を覚えるより、何を担うものかを押さえると十分です。
| 対象・目的 | 主な製品・サービス | 会社にとっての役割 |
|---|---|---|
| 会社の通信 | FortiGate | 通信を検査し、不正な通信を制限する |
| 社内の有線・無線ネットワーク | FortiSwitch・FortiAP | PCなどをネットワークにつなぎ、接続環境を管理する |
| 在宅勤務や外出先からのアクセス | FortiSASE | 働く場所に応じて、クラウド経由でアクセスを保護する |
| PCなどの端末 | FortiClient・FortiEDR | FortiClientは安全な接続や端末の状態確認、FortiEDRは脅威の検知・対応を担う |
| 複数機器の設定・記録の管理 | FortiManager・FortiAnalyzer | 設定や通信記録の管理・分析を支援する |
これらを連携させ、機器ごとに分かれがちな管理をまとめることが、Fortinetの提案の中心にあります。購入時は、必要な範囲から組み合わせを考えることになります。
Fortinetと他のIT・セキュリティ企業は何が違う?
Fortinetの位置づけを、Cisco、トレンドマイクロ、パロアルトネットワークスと並べてみましょう。
| 会社 | 主に提供しているもの | Fortinetとの関係 |
|---|---|---|
| Fortinet | FortiGateを中心に、会社の通信・端末・クラウド経由のアクセスを守る製品と管理の仕組み | 通信の保護とネットワーク管理をまとめて検討する際の候補 |
| Cisco(シスコ) | 通信機器、セキュリティ、データセンター、Web会議など、幅広いITインフラ製品 | ネットワーク機器やファイアウォールで競合。会社全体ではCiscoの提供範囲が広い |
| トレンドマイクロ | PC・サーバー・クラウド・ネットワークなどを守るセキュリティ製品 | 端末などの保護で比較対象になる。導入済み製品とFortiGateが役割を分担する場合もある |
| パロアルトネットワークス | 次世代ファイアウォールなどの企業向けセキュリティ製品・サービス | 会社の通信を守るファイアウォールの選定で、直接の比較対象になる |
Ciscoとの違い|ネットワーク全般とセキュリティを中心とした事業の違い
Cisco(シスコ)は、会社の通信をつなぐ機器から、セキュリティ、データセンター、Web会議などまで幅広く提供する企業です。「会社のITインフラ全体を支える会社」という見方ができます。
一方、Fortinetはセキュリティを事業の中心に置き、ネットワーク機器やクラウド経由の保護、管理・監視へと製品を広げています。
Ciscoにもファイアウォールがあり、Fortinetにもネットワーク機器があるため、通信とセキュリティの分野では競合します。
自社のネットワークを全体から見直す相談なら、Ciscoの広い製品群が検討対象になります。通信の保護と管理をまとめたい相談なら、Fortinetの製品群も候補になります。同じ用途の製品では、必要な機能を使った状態の性能、既存機器との連携、保守込みの費用をそろえて比較します。
トレンドマイクロとの違い|同じセキュリティ企業でも何を比較するのか
トレンドマイクロは、ウイルスバスターで名前を知った方もいるでしょう。法人向けには、PC・サーバー・クラウド・ネットワークなどを対象とするセキュリティ製品を展開しています。
Fortinetとの違いを考える際は、会社名だけでなく、何を守る製品を比べているかをそろえる必要があります。
たとえば、PC内部で不審なプログラムの動きを検知したいなら、端末向けの製品同士を比較します。会社の通信を検査・制御したいなら、その用途の製品同士を比較します。PC向け製品とFortiGateを、そのまま同じ役割の代替品と考えることはできません。
そのため、「トレンドマイクロの製品を使っているからFortinetは不要」とは限りません。既存の対策と役割を分担する場合も、機能が重複する場合もあります。導入済み製品が何を担っているかを確認すると、追加が必要か判断しやすくなります。
パロアルトネットワークスとは?Fortinetと比較される理由
パロアルトネットワークスは、企業向けのサイバーセキュリティ製品・サービスを提供する企業です。一般の読者には馴染みが薄くても、ファイアウォールの分野ではFortinetと同じ市場で検討される会社です。
同社も、会社の通信を検査し、攻撃や不正なアクセスからネットワークを守る次世代ファイアウォールを提供しています。
同じ課題に対応する製品を持っているため、ファイアウォールの選定ではFortinetの直接の比較対象になります。
Fortinetはどんな企業に必要?導入を検討する場面
通信の安定性や、複数拠点の管理を見直したいとき
拠点が増えて設定の管理が大変になった、業務で使う通信量が増えた、既存機器の更新時期が来た。こうした業務上の変化も、Fortinetを検討するきっかけになります。
仮に、本社と三つの支社がある会社を考えてみましょう。支社ごとに異なる機器を導入し、誰が設定を変更したかも分からない状態では、新しいセキュリティルールを全拠点へ反映するだけでも手間がかかります。こうした会社では、通信の保護と管理をまとめる構成を比較する意味があります。
一方、単一拠点で、既存の機器やサービスを適切に管理できている会社なら、直ちに製品を追加する必要はありません。来客用Wi-Fiと業務用ネットワークの分離など、既存機器の設定で対応できる対策もあります。
製品を選ぶ前に、自社が何を使い、誰が管理しているかを整理すると、足りない機能と設定の問題を切り分けやすくなります。機器の把握から始める場合は、中小企業向けのIT資産台帳の作り方も参考になります。
クラウドを使っていても、社員側の対策を確認したいとき
「業務システムはクラウドにあるので、クラウドのファイアウォールで守られているのでは」という疑問もあるでしょう。
クラウド上のシステムを守る仕組みと、社員がどこへ接続するかを管理する仕組みは、守る対象が異なります。たとえば、クラウド上の顧客管理システムが保護されていても、社員が別の偽サイトへアクセスすることまで、そのシステム側のファイアウォールが防ぐわけではありません。Microsoftも、クラウド利用時に顧客側が担うものとして、端末やアカウントなどの保護を説明しています。
必要なのは、自社で利用するサービスに、端末やアクセスの保護がどこまで含まれているかを確認することです。追加対策が必要な場合も、オフィスに機器を置く方法だけでなく、FortiSASEのようなクラウド型のサービスが候補になります。
SCS評価制度の★3を見据える場合は、要求事項に沿って自社の対策を整理し、不足する技術的対策を補う手段としてFortinetなどを検討します。★3の評価対象は組織の対策状況であり、取得には自己評価と専門家の確認が必要です。制度の全体像と準備の進め方は、SCS評価制度とは?中小企業が2027年3月までに準備することで解説しています。
経営・部門責任者が押さえたいのは、「何を購入するか」と「誰が設定・更新・異常時の対応を担うか」を一緒に決めることです。人事部門が資格や研修を検討する場合も、製品を運用する担当者の育成なのか、全社員の基礎教育なのかで必要な内容は変わります。
まとめ
Fortinetは、2000年設立、NASDAQ上場、2025年売上約68億米ドルのサイバーセキュリティ企業です。日本法人と国内の導入・支援実績があり、代表製品のFortiGateを中心に、ネットワークや端末、クラウド経由のアクセスを保護する製品を展開しています。
会社としての規模や実績を確認したら、次は自社との関係を考えましょう。「どの通信や端末を守りたいか」「既存の対策で何ができているか」「導入後は誰が管理するか」が分かれば、Fortinetを検討する理由も、他社と比較すべき項目も具体的になります。
まずはIT担当者や支援会社に、現在の対策の範囲と、今回の提案で変わる点を説明してもらうことが、導入判断への一歩になります。
参考資料
会社規模・評価・製品の説明に使用した資料を、確認したい内容別にまとめています。情報の確認日は2026年9月14日です。
会社概要・規模・顧客数
- Fortinet「2025年年次報告書(Form 10-K)」:設立、本社、上場状況、従業員数、売上高。
- Fortinet公式会社紹介:世界の顧客数と事業の概要。
- フォーティネットジャパン会社概要:日本法人の設立、所在地、従業員数。
市場評価・利用者の声
- Fortinetによる2025年Gartner Magic Quadrant選出の発表:ファイアウォール部門での評価。
- Gartner Peer Insights「FortiGate」利用者レビュー:管理画面や処理性能に関する掲載レビュー。
国内の導入事例・支援体制
- 日立ソリューションズ「セプテーニ・ホールディングス導入事例」:通信の高速化と運用負荷の軽減。
- Fortinet「北海道新聞社導入事例」:テレワーク環境の保護と既存製品との連携。
- 日立ソリューションズとFortinetのパートナーシップ:国内の製品提供・支援体制。
製品と他社との違い
- Fortinet製品一覧、FortiGate製品紹介:製品の役割とファイアウォールの機能・特徴。
- Cisco製品一覧:ネットワーク、セキュリティなどの提供範囲。
- トレンドマイクロ法人向け製品:端末・クラウドなどの保護対象。
- パロアルトネットワークスの次世代ファイアウォール:FortiGateと用途が重なる製品。
- Gartner「2025年ファイアウォール市場評価」:Fortinetとパロアルトネットワークスが評価対象となる市場。
クラウド利用時の責任分担・SCS評価制度
- Microsoft「クラウドでの共同責任」:利用企業が担う端末・アカウントなどの保護。
- IPA「SCS評価制度の詳細情報」:★3の評価の仕組み。
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